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“週に1回“オープンの人気うどん店…病を抱えて奮闘する店主!小麦にこだわる絶品メニューとは

2023年5月29日 19:51
“週に1回“オープンの人気うどん店…病を抱えて奮闘する店主!小麦にこだわる絶品メニューとは

都内のビルの地下に、週に1度だけオープンする「うどん店」がある。通路には順番待ちのお客さん。10席ほどの店内は満席だ。

人気の理由は、「小麦」にある。この店ではうどんを作る小麦を国産小麦に限定し、その品種ごとにうどんにしている。それぞれ「小麦の味」を楽しめるのである。

店には寿司ネタのように小麦の品種が名札にして並べてある。定番の品種が一つと週替わりがひとつ、2種類が楽しめる。今の定番は青森と秋田で栽培されている「ネバリゴシ」という品種。

もっちりしながらもなめらかな口当たりが特徴で、お客さんの1人は「にゅるむにゅ感」と食感を表現していた。食べ方は冷やし、温かけ、冷かけから選べて、ごぼう天や牛肉に玉子、鶏天など好きなトッピングを選べるのも好評だ。

この個性的なうどん店を作り上げたのは井上こんさん(36)。1人で店を切り盛りしている。

「こんなに(小麦の)品種があって、うどんは(種類が)たくさんありそうだって伝われば」

自ら小麦の系譜図まで作るうどん好き。「(小麦)の育種は10年20年の歳月を経て、世に出ていることがロマン」と小麦への思い入れを語った。

うどんはすべて手づくりで、品種やその日の気温、湿度で塩かげんや水分のなじませ方を変える、繊細な作業だ。機械を使わず 体を使ってのうどん作り。踏んで延ばして、畳んで踏んでが続く。

そして1晩以上、ゆっくりと熟成させてようやく完成するのがこの店のうどんだ。今では「小麦の種類と特徴を知りたい」とラーメンのプロたちも食べに来るほどである。

お客さんとして来た、ある有名ラーメン店の店主は「おいしい。小麦粉を大切にしてるのが伝わった、香りも食感も」とそのおいしさに感動した様子。
店主のこんさんは「この小麦の“ネバリゴシ”は“きたほなみ”というメジャーな品種と比べると0.1%しか作られていない絶滅危惧種」と小麦の詳しい背景を説明する、根っからの小麦好きなのだ。

小さい頃からうどんが大好きで「うどんライター」になり、年間500杯以上のうどんを食べ歩いた。

そこで国産小麦の種類の多さとおいしさを知った。そして小麦ごとにうどんを食べてもらいたいと今のお店を開いた。

だが、店はオープン当初こそ週3回の営業だったが、今は週1回となっている。そこには理由がある。こんさんは去年、ギラン・バレー症候群を発症した。今も病気を抱えながら営業をしている。

お客さんの前では笑顔を絶やさないが、その裏では痛みとの闘いが続いていたのだ。番組ではそんな彼女を支える人々との人間模様と触れあいを描いていく。

※詳しくは動画をご覧ください。(2023年5月29日放送『news every.』より)