92歳のチアリーダー、最後のステージに密着 日本初のシニアチーム立ち上げ
日本で初めてシニアのチアチームを立ち上げた女性が、この春、92歳でチームを引退しました。最後の舞台に密着しました。
■53歳で米留学…シニアチームを知り、63歳で立ち上げ
今年3月、チアの全国大会。若者たちの中で、ひときわ大きな歓声を浴びていたのが、平均年齢67歳のチアチーム、ジャパンポンポンです。
最年長の滝野文恵さんは92歳。パワフルなダンスと笑顔で観客を魅了します。
53歳でアメリカに留学した滝野さん。その縁で、アメリカにシニアのチアチームがあると知り、63歳でジャパンポンポンを立ち上げました。
滝野文恵さん「いくつからでも、何でも始められるというのが持論」
以来28年間、現役で踊り続けてきました。
滝野さん「平均年齢70歳の人が、70歳の(レベルの)踊りをやってるんじゃ、誰も感動しない。もっと上の(レベルの)ものを一生懸命するから皆さん感動する」
コロナ禍も乗り越え、2022年には大規模なショーも上演しました。
■今年1月に92歳の誕生日、大きな決断
今年1月、92歳の誕生日を迎えた滝野さんは、大きな決断をしていました。
滝野さん「やめどき、やめる時ってあるじゃん。いろんなものに」
早い動きやジャンプの繰り返しに、ついていかなくなった体。
滝野さん「体力的にもそうだし、覚えるのも大変。スピードも大変。(チームの演技に)迷惑をかけるギリギリの線でやっている」
3月の全国大会を最後に、チームを引退するというのです。
長年、支え合った仲間たちは…。
チームメンバーの山口さん(81)「去りどきっていうか、そういうのって大事よねという話は、してらっしゃった」
チームメンバーの嶋田さん(72)「ジャパンポンポン滝野文恵のプライドは、今ここで終わることが一番なのかな。それを私たちも受け入れてあげなきゃいけない」
滝野さんは最後の舞台に向けて、繰り返し練習に励みます。
滝野さん「ここまで来たら多分、後悔もしないと思うし、後になって、もうちょっと続けられたのにと思わないと思う。だから来るところまで来たから、よかったと思う。ここまで来て」
■本番当日、最後の演技 笑顔で踊り抜く
迎えた本番当日。立ち上げから28年と3か月。
滝野さん「私は人生が変わったと思ってますね。これがなかったら、どうだったんだろうと」
チームで踊る最後の演技。メンバーと一つになって、つくり上げます。声援の中、滝野さんは笑顔で踊り抜きました。
出場した高校生「これからも頑張ろうという思いが、毎回見るたびに、心に刺さります」
滝野さん「(Q.お気持ちは?)とにかく早く、ビール飲みたい!」
滝野さんのジャパンポンポン、ラストステージは幕を閉じました。
■生き方は変わらない 新たなステージへ
ナツコ・グレース先生「新人の方が、タッキーこと、滝野文恵さん」
自分のペースで踊ることができるカントリーダンスを新たに習い始めるというのです。
滝野さん「多少、形が違ったり、いろんなことがあるかもしれないけど、いくつからでも何でもできる。一個終わって、次ですね」
ジャパンポンポンは引退しても、生き方は変わらない。滝野さんの新たなステージが始まります。