【台風10号】ノロノロ台風が翻弄 登下校の判断基準は 過ぎた後に見えてきた「被害」と「課題」福岡
先週、ゆっくりと九州を進んだ台風10号は、各地に爪痕を残しました。台風シーズンに入り改めて、日頃の備えの見直しが重要です。
台風が福岡県を通過して3日目の9月2日。
■宮原真記者
「築上町の田んぼですが、台風の影響でしょうか。この辺り一帯、稲穂が倒れてしまっています。」
福岡県築上町ではあちこちで、収穫間近の稲が倒れかかっていました。その状況の中でも、収穫作業をしている生産者の姿がありました。
■コメの生産者・田村速美さん
「大きな台風ということで、かなり心配したんやけど、そのわりに被害が少なくて喜んでいます。これくらいだと数量にはあまり影響はないのですが、作業時間に結構、時間取られて。」
JA全農ふくれんによりますと、今のところ県内の産地から大きな被害の報告は入っていないということです。
ゆっくりした速さで九州を進んだ台風10号。築上町では橋が崩落するなどの被害が出ました。
福岡県内では、2人が亡くなり、22人が重軽傷を負いました。
また、福岡市長が謝罪する事態にもなりました。
■高島市長
「市政の最高責任者として、保護者の皆さん、児童をそのような中で登校させたということは、大変申し訳なく思っています。」
台風10号が接近していたさなかの8月29日。福岡市教育委員会は、市立の小中学校を休校にはせず、給食の後に一斉下校させることを決めていました。
しかし、当日朝に暴風警報が発表されたことを受け、いったん登校した子どもたちをすぐに下校させることになりました。子どもたちは、雨風の中の登下校を余儀なくされました。
福岡市は今後、登校の判断基準や対応をほかの自治体を参考にして明確化するとしています。
一方、服部知事は、被害の復旧に向け迅速に取り組むと話しました。
■福岡県・服部知事
「台風のシーズン、まだまだ続いてまいります。日頃からの備えにぜひ務めていただきたいと改めてお願い申し上げます。」
今後の新たな台風の見通しを、福岡管区気象台の渡辺剛防災気象官に聞きました。
■福岡管区気象台・渡辺剛防災気象官
「平年値で言えば、9月は日本付近は接近数、上陸数は多い状況なので。(発生数は)平年で言うと13個から14個程度なので、おおむね平年並みなのかなと。」
その中で、どんなところに注意すればいいのでしょうか。
■渡辺防災気象官
「温暖化で研究されている事例を見ると、強大な台風、強い台風が数は多くなるだろう。お店、物流が止まる可能性は当然ありますので、備蓄、冷凍、生活物資に関してそれぞれご検討いただければと思います。」
今回の台風では、交通機関が相次ぎ計画運休を実施しました。24時間営業のコンビニも、台風接近に備え閉店するなど、人も物流も止まりました。
影響は台風が通り過ぎた後も続いていました。9月1日、福岡市のホームセンター、グッデイ西福岡店を取材しました。
■永石莉里子記者
「こちらのホームセンターにある防災グッズの売り場ですが、非常食がほとんど売り切れの状態です。」
非常食が並んでいるはずの棚は、ほぼ空っぽでした。「入荷時期未定」の張り紙もありました。店によりますと、台風前の駆け込み購入や物流が滞ったことの影響だということです。
9月は防災意識を高め、いざという時の備えについて見直す『防災月間』です。次の災害が起こる前に、日ごろの備えを見直してみてはいかがでしょうか。