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「伝統は残し 幅広い世代に響くような音楽を奏でたい」津軽三味線全国大会初出場で好成績の高校生【徳島】

2024年12月26日 19:30
「伝統は残し 幅広い世代に響くような音楽を奏でたい」津軽三味線全国大会初出場で好成績の高校生【徳島】
2024年11月、国内最大級の津軽三味線の全国大会が滋賀県で開かれました。

大会初出場ながら、初級者部門で優勝するなどの好成績を収めた徳島市の高校生を取材しました。



時に激しく撥を叩きつけるように弾く演奏が特徴の「津軽三味線」。

この「津軽三味線」に魅せられた女子高校生がいます。

徳島文理高校の1年生・堀金瑚白さんです。

(徳島文理高校 堀金瑚白さん(1年))
「津軽は、音圧とかも(ほかの三味線と)全然違いますし、ハイテンポな曲も多くて、そういうところが楽しいなって思いますね」

これまで大会の出場経験がなかった堀金さんですが、11月30日、滋賀県で行われた津軽三味線全国大会に初めてエントリー、全国レベルの大会で入賞経歴のない93人が出場した初級部門で優勝、そして経歴に関係なく、学生もしくは20歳以下が出場する甲子園部門でも準優勝の好成績を収めました。

(徳島文理高校 堀金瑚白さん(1年))
「正直 びっくりしてるのと嬉しいっていうのが一番大きいんですけど、甲子園部門では準優勝で悔しいっていう気持ちもあって、この結果をゴールだと思わずに、今から戦っていくんだっていうスタート地点に立つことができたんだなっていう気持ちです」

「今がスタート地点」と話す堀金さん、しかしここまでの道のりは短くはありませんでした。

堀金さんが三味線と出会ったのは小学4年生のとき、祖母から勧められたのがきっかけで、津軽より棹が細く一回り小ぶりの長唄三味線を始めました。

その後の3年間、長唄三味線で腕を磨いてきた堀金さんでしたが。

(徳島文理高校 堀金瑚白さん(1年))
「今と比べると、やっぱりあんまり好きじゃなかったですね。始めた当時はなんとなく連れていかれてるみたいな感じで、そこまで好きではなかったですね」

中学校に入るタイミングで、このまま三味線を続けるのかを迷っていた堀金さんでしたが、見守っていた母の美穂さんにはある考えがありました。

(瑚白さんの母 堀金美穂さん)
「なんとか三味線を続けてもらうためにも、『津軽三味線』という選択肢は私の頭の中にもあったんですけど、それをどうつなげようかなって考えて、YouTubeを一緒に見ることがあって、そこで『津軽三味線』でポップスを弾いてる方を見せてかっこいいよなっていう話をして。『やってみる?』って聞いたら、『やるっ』ていう、津軽三味線を持たせることにも成功といいますか、嬉しかったです」

それ以降、津軽三味線に夢中になった堀金さんは、平日2時間・休日は6時間に及ぶ練習を重ねてきました。ポップスはもちろん、洋楽のアレンジにも挑戦、そしていつしか津軽三味線奏者としての目標を持つようになりました。

(徳島文理高校 堀金瑚白さん(1年))
「練習していくうちに将来のことを考えた、『プロになりたい』『師範をとって自分が教えてあげたい』とか、自分がプロになってお客さんに元気を与える、そういうのになっていきたいなって思い始めました」

そのためには、全国規模のコンテストで良い成績を取りたい。それには何が必要なのか、そう考えていた矢先、今時ならではのきっかけがありました。

(瑚白さんの母 堀金美穂さん)
「プロの方なんですけど、その方が娘のインスタグラムを見つけてくださって、(同じの師匠の下で)『一緒に三味線しない?』って言ってくださって、やっぱり成長していくためにはしっかりした流派に入れるべきなのかなって思って、その方にいろいろお話を聞いて、そこのお師匠さんだったらお任せできるなって思って、お願いすることにしました」

香川県高松市内のとある民家。

半年前からここに通う堀金さん、この日は月に1度のレッスンです。

指導するのは、津軽三味線の三絃小田島流の2代目・小田島徳おうさん

毎回、仙台からやってきて稽古をつけてくれます。

小田島さんは「G8洞爺湖サミット」の場で三味線を披露した腕前はもちろんのこと、独自の指導方法で多数の門下生を全国大会で入賞させている、三味線界では知らない人はいない存在です。

この日は優勝後、初のレッスン。

まずは大会を振り返りました。

(三絃小田島流 家元2代目 小田島徳おうさん)
「まずはよく頑張ったなというのが一番の思うことであって、実力はたぶん、普通に弾ければ優勝、初心者の部では優勝するのかなとは思ってたんですけど、まさかそれが普通にあそこまで弾けるとは思ってなくて、度胸にびっくりしました」

次は、2025年2月に開かれる大阪での全国大会に出場を予定している堀金さん。

この日は音程、バチの出し方、演奏の強弱と、細かいところまでチェックが入りました。

さらなる上を目指すための課題は少なくありません。

(三絃小田島流 堀金瑚白さん)
「しっかり正確に、(音を)はっきり出せるようにしたいなっていうのと、あと加速しがちなところもあるので、そこを落ち着いて弾けるようになればいいな」

(三絃小田島流 家元2代目 小田島徳おうさん)
「最初皆さんが、『津軽三味線』入るときにどうしてもかっこいいっていう部分が意識して入ってくると思うんです。実はそこではなくて、本当の真髄のじょんから節の歌のリズムとメロディを理解しないといけない。そこの違いを教えることを大事にしています。全部いろんなもの、可能性がある限り、いろんな楽器とコラボレーションしてもらいたいし、なおかつ古典も覚えてもらいたいので、今はもういろんなことをやってもらいたいと思う」

最後に一足早く、お正月の定番「春の海」をアレンジした曲を弾いてもらいました。

(三絃小田島流 堀金瑚白さん)
「古き良き伝統音楽だったり、伝統楽器っていうのは残しつつ、幅広い世代に響く、刺さるような音楽を奏でられる津軽三味線奏者になりたいなって思っています」

最終更新日:2024年12月26日 20:13
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