「木頭杉」に新たな価値をそして地域の未来のためにできることを...木頭地区の木工品製造販売会社【徳島】
徳島県那賀町の木頭地区といえば何を思い浮かべますか?
木頭と言えば「ゆず」というイメージですが、古くは杉が「木頭杉」というブランドで市場から高い評価を受けていました。
この「木頭杉」に新たな価値を生み出そうと挑戦している企業を取材しました。
木頭地区にある木工品製造販売会社「WOOD Head」です。
2017年に創業したこの会社では、徳島で伐採した木を使い木工品を作っています。
製品の品質をチェックする松本恭典さんは、「WOOD Head」を立ち上げた一人で、商品の企画開発を担当しています。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「素材の良さを活かした『ものづくり』を心がけて、皆さんの暮らしに寄り添うような商品を作ることを心がけています」
この日は、主力商品の「木頭杉の箸」の製造が行われていました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「この杉の赤いところが心材って言われてる場所で、油分が豊富で抗菌性の高い部位なんです。うちのお箸は無塗装なんですよ。無塗装で使うにはやっぱり油分が豊富で、抗菌性の高い場所でないとカビが生えたり、色がついたりするので、油分の豊富なこの場所を使っています」
現在、製造販売しているのは、コースターやスマホのケースなど約50種類。
中にはこんなユニークな商品も。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「これは、スマホを立て掛けるだけですごく良質なサウンドを奏でます。木の構造だけで音を反響させますので、電源は要らないですね」
素材は阿波ひのき、ミニチュアのオペラ劇場のようなデザインのスピーカーからは、木が奏でる反響音が心地よいサウンドとなって耳に届きます。
商品はすべて徳島県産の木材を使っていますが、中でも地元の木頭杉を使った商品開発にはある特別な思いがありました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「まずは(箸とか)身近なものから杉の良さっていうのを知っていただいて、その杉を使ってこんなものができるんだと。じゃあもっとこうしたらこんなものができるんじゃないかとか、いろんな人に考えるきっかけっていうのを作っていけたらなと思ってます」
「考えるきっかけを作りたい」、そう話した背景には木頭杉の歴史がありました。
木頭地区は雨が多く、寒暖の差の激しい地域で、この環境に耐え育ったものは良質の杉として市場でも高く評価されてきました。
「木頭杉」の歴史は古く、「木頭村誌」には670年頃から徳島県内の寺の用材として、また、天正の時代には大阪城の用材として使われたと伝えられています。
そして昭和初期には、「阿波の三分板」として京阪神市場を席巻しました。
しかし、高度成長期には安くて手に入りやすい外材が流通し始め、木頭の林業は衰退していきました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「この木頭の山を、昔の人たちが僕たちのために本当に命かけて植林っていうものをしてくれたんですよ。木頭の山の本当に見えるところ、ほぼほぼ昔の人たちが何日もかけて子孫のために残そうと思って残してくれたもの。いわば財産なんですけど、それが今は売れない状態」
「見てもらいたい場所がある」松本さんがそう言って、私たちをある場所へ案内してくれました、そこにあったのは。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「これは数年前の台風の時に倒木でいっぱい倒れてきて、そのまま手つかずで放置された状態ですね。山に光が届かないという状況です。で、下草が生えない、下草が生えずに山の表土がどんどんどんどん雨のたびに流されて、杉は根を張らない。ちょっとした風でも倒れる。それを防ぐには、やっぱり間伐とか皆伐をして山に光を当てていかないとダメです。杉が使われてない、やっぱり杉の価値っていうのが伝わっていない」
産業の衰退や人手不足により適切な山の手入れが難しくなった今、地盤が弱くなり倒木が後を絶ちません。
このままでは災害の危険性も高まるばかり、地域の安全を守る役目を果たしていかなければならない、そうした思いもありました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「このまま放っておくと、(木頭杉が)災害の予備軍にもなってしまうんじゃないかなと。この残された地域の資源を、僕たちは財産として次の世代に渡すっていうことが自分たちの役割であり、『木頭杉』というものの価値を商品を通して伝えていきたい」
「木頭杉」に新たな価値を、そして地域の未来のために、松本さんたちは過疎化という課題に直面しながらも挑戦し続けます。
木頭と言えば「ゆず」というイメージですが、古くは杉が「木頭杉」というブランドで市場から高い評価を受けていました。
この「木頭杉」に新たな価値を生み出そうと挑戦している企業を取材しました。
木頭地区にある木工品製造販売会社「WOOD Head」です。
2017年に創業したこの会社では、徳島で伐採した木を使い木工品を作っています。
製品の品質をチェックする松本恭典さんは、「WOOD Head」を立ち上げた一人で、商品の企画開発を担当しています。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「素材の良さを活かした『ものづくり』を心がけて、皆さんの暮らしに寄り添うような商品を作ることを心がけています」
この日は、主力商品の「木頭杉の箸」の製造が行われていました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「この杉の赤いところが心材って言われてる場所で、油分が豊富で抗菌性の高い部位なんです。うちのお箸は無塗装なんですよ。無塗装で使うにはやっぱり油分が豊富で、抗菌性の高い場所でないとカビが生えたり、色がついたりするので、油分の豊富なこの場所を使っています」
現在、製造販売しているのは、コースターやスマホのケースなど約50種類。
中にはこんなユニークな商品も。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「これは、スマホを立て掛けるだけですごく良質なサウンドを奏でます。木の構造だけで音を反響させますので、電源は要らないですね」
素材は阿波ひのき、ミニチュアのオペラ劇場のようなデザインのスピーカーからは、木が奏でる反響音が心地よいサウンドとなって耳に届きます。
商品はすべて徳島県産の木材を使っていますが、中でも地元の木頭杉を使った商品開発にはある特別な思いがありました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「まずは(箸とか)身近なものから杉の良さっていうのを知っていただいて、その杉を使ってこんなものができるんだと。じゃあもっとこうしたらこんなものができるんじゃないかとか、いろんな人に考えるきっかけっていうのを作っていけたらなと思ってます」
「考えるきっかけを作りたい」、そう話した背景には木頭杉の歴史がありました。
木頭地区は雨が多く、寒暖の差の激しい地域で、この環境に耐え育ったものは良質の杉として市場でも高く評価されてきました。
「木頭杉」の歴史は古く、「木頭村誌」には670年頃から徳島県内の寺の用材として、また、天正の時代には大阪城の用材として使われたと伝えられています。
そして昭和初期には、「阿波の三分板」として京阪神市場を席巻しました。
しかし、高度成長期には安くて手に入りやすい外材が流通し始め、木頭の林業は衰退していきました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「この木頭の山を、昔の人たちが僕たちのために本当に命かけて植林っていうものをしてくれたんですよ。木頭の山の本当に見えるところ、ほぼほぼ昔の人たちが何日もかけて子孫のために残そうと思って残してくれたもの。いわば財産なんですけど、それが今は売れない状態」
「見てもらいたい場所がある」松本さんがそう言って、私たちをある場所へ案内してくれました、そこにあったのは。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「これは数年前の台風の時に倒木でいっぱい倒れてきて、そのまま手つかずで放置された状態ですね。山に光が届かないという状況です。で、下草が生えない、下草が生えずに山の表土がどんどんどんどん雨のたびに流されて、杉は根を張らない。ちょっとした風でも倒れる。それを防ぐには、やっぱり間伐とか皆伐をして山に光を当てていかないとダメです。杉が使われてない、やっぱり杉の価値っていうのが伝わっていない」
産業の衰退や人手不足により適切な山の手入れが難しくなった今、地盤が弱くなり倒木が後を絶ちません。
このままでは災害の危険性も高まるばかり、地域の安全を守る役目を果たしていかなければならない、そうした思いもありました。
(WOOD Head 松本恭典さん)
「このまま放っておくと、(木頭杉が)災害の予備軍にもなってしまうんじゃないかなと。この残された地域の資源を、僕たちは財産として次の世代に渡すっていうことが自分たちの役割であり、『木頭杉』というものの価値を商品を通して伝えていきたい」
「木頭杉」に新たな価値を、そして地域の未来のために、松本さんたちは過疎化という課題に直面しながらも挑戦し続けます。
最終更新日:2024年10月3日 21:32