【密着】10人きょうだいの大家族・岸さん一家 夫妻に思わぬ事態⁉六男は新たな旅立ち
KKTが20年以上取材を続ける宇土市の大家族、岸さん一家。自宅の火事や熊本地震、家族の入院と、これまで様々な困難を乗り越えてきましたが、信子さんと英治さん夫妻にまた、思ってもみない事態が起きました。そして六男の一心さんは、新たな旅立ちの日を迎えました。
8月。久々に岸さんチを訪れると…。
■岸英治さん(70)
「こんにちは!撮とらんでください…」
(どうしたんですか?)
「すごいでしょ⁉仕事で皆さんとお出かけ中に、河原でこけてしまいました」
お父さんの英治さん、顔が大変なことに!
■英治さん
「しこたま土手の石垣に頭を打ちつけて…はぁー…やっぱ気をつけないといかんですよね。元々あんまり気をつけないからいけない」
ところで、妻の信子さん(69)は、きょうどちらへ?
■英治さん
「点滴して血栓をとるだけでしょ」
信子さん、4年前の脳梗塞が再発し入院することに。きっかけは、「記憶喪失」。その時の様子を息子たちは…。
■六男 一心さん(25)
「(入院の数日前)この晩ごはん誰が作ったっけ?とか、きのうの何時ごろ私どこにいたっけ?みたいなことを言ってて、大丈夫?認知症始まったの?とその瞬間は笑い話だったけれど」
■帰省中の二男 天童さん(39)
「1人でふらっと病院に行ったらそのまま入院だったので、ちょっとびっくりしましたね」
突然の入院。病院に向かうものの…。
(信子さんには会えた?)
■英治さん
「会えませんよ。あの、誰かが(荷物を)持って行ってくれる、渡して終わり。ストーカー行為が始まります…誰がストーカー言うたんや!違うよね!息子たちがストーカーって…違うわい!」
あきらめられない英治さん。手には双眼鏡…その先に見えるのは?入院中の信子さんです!!
電話と双眼鏡で何とか近くに感じたい…病院のベランダから信子さんが自撮りした写真には、信子さんと小さく映った英治さん。仲良くツーショットです。
英治さんが家に戻ると…。
■六男 一心さん
「(信子さんとは)窓越しに、ベランダ越しにしゃべっただけ?母ちゃんがさっきLINEしてきて、私ロミオとジュリエットみたい!って言ってたよ。大はしゃぎしてる」
一緒に暮らす、六男の一心さん。実は、10日後に留学でアメリカに出発します。
1999年に10人きょうだいの9番目に生まれた一心さん。たくさんの愛情を受けて育ちました。16歳の時には熊本地震を経験。家族と協力して困難を乗り越えました。親と離れる日が近づいて感じることは?
■六男 一心さん
「ふと思ったんですよ。お父さんとあんまりしゃべってないって」
■英治さん
「父親で口うるさくなくていいだろ!何もしゃべらんで黙ってて、何も文句言わないし、一生懸命働くしかなかったけど、それでどうこうというより、家が一番居心地がよかったからだと思うよ・それは信ちゃん(信子さん)のおかげよ。家に帰って嫌な子どもや嫌な奥さんがいれば、何もする気がなくなると思うけど、そういうわけじゃないから…なんかこんな話するのもないね」
息子と父親。言葉にしなくても、思いは伝わっています。
入院すること2週間。信子さん、後遺症も残らず無事に退院できました。
■信子さん
「ただいまー」
■英治さん
「一生懸命片づけていますけど」
■信子さん
「ありがとうございます!十分です!」
帰省中に偶然、入退院を見届けることになった二男の天童さん。
■二男 天童さん
「また退院できてよかったねってニコニコ話してたけど、親父の顔面もはれてるし、2人とも老化も進んでるから健康に気をつけなさいよと説教しながら帰ったところでした。まあまあ、一段落ついてよかったんじゃないですか」
■信子さん
「早めに受診したのは良かったって病院でも言われたので、良かったかな。またお母さんを頑張ります」
退院から1週間。一心さんがアメリカに出発する日がやってきました。福岡空港から旅立ちます。
■六男 一心さん
「不安と緊張で心が満たされている感じですね。大人になりましたんでちょっとだけ。そのおかげでまだ涙こらえている状態ですね、何とか」
■四男 大我さん(28)※熊本市内で勤務
「(熊本市の勤務先で)急いで仕事片づけて、(車で)高速道路で来て滞在時間10分で、また熊本に帰りますよ。さみしくはないけど、心配なんですよね、弟だから…。いつまでも弟は弟なんで」
福岡で暮らす長女の麗花さん(37)も、家族みんなで見送りに駆けつけました。
■英治さん
「これ、みんなの思いが詰まったものです」
英治さんが一心さんに渡したのは、両親と10人きょうだい全員の写真。一心さんへのメッセージが添えられています。
■六男 一心さん
「なんか、デジャブ(前に実家を離れる時も)見たな、ありがとね…前これいただいた時は飛行機の中でぼろ泣きして、すげー恥ずかしかったな」
4年間の留学生活。離れて暮らすけれど、家族はつながっています。
■信子さん
「強くなってほしいです、メンタル的にたくましくなって」
■英治さん
「楽しんでくれたらと思います。向こうに行って、また自分の新しい才能に気づくんじゃないかと思います」
新しい人生の第一歩。一心さん、家族がみんなで見守っていますよ。