【大家族】岸さん父 30年以上続けた新聞配達を卒業 家族の生活に変化
KKTが20年以上取材を続ける宇土市の岸さん一家。10人の子どもを育てるため働き続けてきた父・英治さんに節目が。新しい命が生まれる一方、家族の生活に変化が生まれています。
宇土市の7男3女、岸さん一家。
結婚41年目を迎えた英治さん(70)と信子さん(69)。
2人の人生には困難も。自宅の全焼や熊本地震、さらには家族の緊急入院もありました。
それでも家族が一緒に乗り越え、いまでは孫が18人に。子どもたちの多くが巣立ち、静かな日々となりました。
ことし3月。朝から新聞配達をする英治さん。この日、最後の出勤となりました。
職場の倒産などで転職を繰り返してきた英治さんが家族を支えるため、30年以上掛け持ちで続けてきた仕事です。
雨の日も、雪の日も休めない仕事。バイクで転んだ回数は数知れません。
午前6時過ぎ、配達を終え自宅へ…。
■岸英治さん(70)
「ただいま帰りました…終わりましたね!終わりましたよ。一段落だ!そうよ!のびのびできるよ…よかった」
■信子さん(69)
「お帰りなさい!お疲れ様です。終わったね。終わったわけじゃないけれど気楽になれるかな。新聞は終わり 一段落」
その日の夜、離れて暮らす子どもたちが孫と一緒に集まりました。
■英治さん
「30年間頑張りました!」
■子どもたち
「おつかれさまでした~」
■4番目の孫・花さん
「表彰状、岸英治殿、あなたは家族のため雨の日も風の日も新聞配達を頑張りました、その頑張りをたたえて表彰状を送ります、おめでとうございます」
■英治さん
「居場所がある、一生懸命働いて帰ればみんな笑っている子どもも笑っている、この人もそれが一番よかったんでしょうね」
■信子さん
「夜の時間がね 今まですごく8時には家に帰らなきゃ9時までには絶対寝なくちゃというのがないと解放されると思うよ英治さん」
■英治さん
「一緒の時間が増えたいね」
■信子さん「レイトショーも見られるよ」
長年続けた仕事もひとくぎり。家族の笑顔があるから頑張ることができました。
それから1か月半。朝早い仕事がなくなった英治さんと信子さんの暮らしは…。
■信子さん
「気を付けてね、もう行く?行ってらっしゃい!」
ほとんど年中無休だった新聞配達の仕事を3月で卒業しました。
■英治さん
「全然、気持ちにゆとりですよ。新聞やめたら楽!!夜早く寝なきゃいけないという緊迫感がない」
寝る時間を気にせず自由に過ごせる時間が増え、大好きな釣りも、好きなだけ行けるようになりました。
釣れない日もあるけれど釣りに行けることがいいんです!
一方の信子さん。
■信子さん
「ここが信子さんのお城!私エリアになります」
結婚以来初めての「自分の部屋」ができたんです。部屋の中には家族や自分の思い出の品を並べました。
■信子さん
「もう最高!本当に自分の部屋があるのが嬉しくて、引きこもりたいもんここに、ずっとここにいて好きな本を読んだり好きな音楽聴いたり好きな物をみたりして本当にこんな日が来るとは」
実は…信子さんの部屋には去年まで母親のミツ子さんが暮らしていました。でも、脳のまわりに血液がたまる「慢性硬膜下血腫」と診断され、施設に入所することに…。その後英治さんと信子さんが部屋を使うことにしました。
■信子さん
「孫たちが来てうるさい時も私と英治くんは夜になったらこっちに来てゆっくり過ごせるし私は1人にもなれるしとてもいいです」
「母がデイサービスに行くようになって作ったの古いものは整理してないけれど麦わらの一味…母とコンプリートした」
去年まで自力で歩けた母。2人であちこち出かけました。
■信子さん
「行ってよかったってめっちゃ思う!たった1年前だよ、1年前は行けていたの2人で。突然行けなくなる日が来るのをすごく実感している母がいたおかげであちこち行けたんだってすごく思った。わざわざ一人で行かないもん」
認知症が進行し、記憶もあいまいになっていくミツ子さんに信子さんは贈り物を用意することにしました。
■信子さん
「写真ばね持ってきたよ。みんなになかなか会われんでしょう」
取り出したのはアルバム。英治さんと信子さん、それに10人の孫と家族の写真を集めメッセージを添えました。
■信子さん
「お母さんがいつも笑ってると英治さんもうれしかって」
■母・ミツ子さん「私も嬉しい」
(動画)
「みんな、アルバム見たよ、楽しかったよ~」
■信子さん
「入所する前は心配の方が多くて離れることに対する罪悪感みたいなものもちょっとあったり大丈夫かなって毎日思っていたけれど、日に日に入ってよかったと思う。会話が成り立たない時はあるけれど一緒にいる時間を楽しそうにしてくれるならそれでいいかな…」
秋には三女の種恵さんに3人目の子どもが生まれる予定で、英治さんと信子さんの孫は19人になる予定です。