死者・行方不明422人 熊本市の中心部を流れる白川大水害71年 その経験を伝える
71年前、422人の死者・行方不明者を出した白川大水害を後世につなごうと21日、白川近くの小学校で初めての学習会が開かれました。
熊本市中央区の大江小学校。白川大水害では、大江地区も甚大な被害がありました。当時、大江小の3年生だった田尻康博さん(80)。6年生約130人を前に、当時の経験を語りました。
■田尻康博さん
「濁流に流され、お母さん助けて~と必死に叫びました。その母の必死な形相と雨の降りしきる状況は今でも忘れません。怖かった」
また、後世につなぐために、新たな手法が用いられました。画面に映し出されたのは、子どもたちにとって身近な公園や中学校に濁流が押し寄せる映像です。国土交通省が、デジタル技術、ARを使って今年初めて制作しました。
雨の音などもリアルに再現しています。水の速さや色、切迫感のある音などは、田尻さんをはじめ、白川大水害の被災者の経験を反映させました。
■6年生
「映像はちょっと怖かったし、避難できなかったら死んでしまう可能性もあるので、早めに行動したり考えたりする力が大切なんじゃないかなと思いました」
■6年生
「避難経路を確認したり、自分や家族を守れるような行動をしていきたい」
経験を語った田尻さんは、子どもたちに定期的に家族で防災計画を話すことや自分で考えて動く行動力の大切さも伝えました。また、白川大水害の当時と違うのは、情報を得られる環境があること。命を守るために早めの避難も呼びかけました。