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魚介類に寄生し食中毒引き起こすアニサキス 刺身の味や食感を守りながら撃退する技術を開発

2024年10月28日 19:50
魚介類に寄生し食中毒引き起こすアニサキス 刺身の味や食感を守りながら撃退する技術を開発
魚介類に寄生し、食中毒を引き起こす「アニサキス」。世界に誇る日本の刺身文化を守りたいと、刺身の味や食感を守りながらアニサキスを撃退する技術を熊本大学が開発しました。

熊本大学の学食で学生が食べているのはサーモンの刺身。でも、ただの刺身ではありません。
■学生
「そんなに変わらない」
「どっちもおいしい」

食中毒を引き起こす寄生虫を撃退する技術が施されています。生魚に寄生し、人の体内で強い腹痛や嘔吐などの食中毒を引き起こすアニサキス。この厄介者を何とかしようと熊本大学で開発したのが…。

■熊本大学産業ナノマテリアル研究所 浪平隆男准教授
「こちらがパルスパワー電源となっていて、簡単にいうと小さな雷を発生させるような装置です」

大きな力の電気エネルギー「パルスパワー」で、アニサキスを感電死させることができます。浪平隆男准教授は、水産加工会社の知り合いがアニサキスを理由に生魚の出荷をやめようか悩んでいると知り、この装置を開発しました。

厚労省は、食中毒を防ぐため魚介類の加熱や冷凍を推奨していますが、味や食感が変化する欠点が。一方、パルス処理ならほとんど変わらないといいます。

■熊本大学産業ナノマテリアル研究所 浪平隆男准教授
「100万分の1秒しか電気を流しませんので、アニサキスは死ぬんですけどサーモンの身は温度が上がらない。ダメージを受けない」

28日、学生にこの技術を知ってもらおうと開かれた試食会。パルス処理をした刺身と、していないものを食べ比べます。学生は、どちらがパルス処理した刺身なのか知りません。

■試食した学生
「(赤の皿は)ぷりぷりで柔らかい。黒の皿の方がちょっと後味がいい感じがしますね。ほとんど違いがなかったので全然わからなかった」
*黒の皿…パルス処理した刺身、赤の皿…未処理の刺身

■熊本大学産業ナノマテリアル研究所 浪平隆男准教授
「この技術があることによって、後世に渡って生の刺身を維持できる。この技術の有用性をいろんな人に知ってもらって、社会実装に対する声を大きくしていけたら」

今後は装置を作る企業や実際にパルスパワーの装置を使う鮮魚店などを探していくということです。安全で、おいしい刺身がどこでも食べられる技術が社会に広がるまで、あと少しです。

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