「その人を失ったら、必ず後悔する…」 救命措置の大切さ伝える東京出身の高校2年生(宮城)
同級生に対して、救命措置の大切さを伝える高校生がいます。
宮城・南三陸高校の有川颯さん、高校2年生です。
「震災の教訓をつなぎたい」、その決意のもとに東京から南三陸に来た有川さんは、目標に向けて一歩ずつ進んでいます。
南三陸高校で3月行われたのは、防災教育の授業です。
会場に集まった生徒の前に立つのは、同じ高校の2年生・有川颯さん。
今回の防災授業の講師を務めます。
<有川さん>
「自分の目の前で倒れた人が、自分の大切な人かもしれません。その時に一次救命処置をできなかった、やらなかったせいでその人を失ってしまったら、必ず後悔する」
この日、有川さんがテーマに選んだのは「救命処置」です。
救えるはずの命としっかり向き合えるように、万が一に備えた知識が大切と話しました。
東京都出身の有川さんが、南三陸に来たのは2年前。
震災で大きな被害があった南三陸でその教訓を学びたいと、全国から募集する「kizuna留学生」として入学しました。
その後、有川さんは震災をきっかけに南三陸高校に作られた防災クラブに所属。
地域の避難訓練などに参加する傍ら、防災士の資格も取得しました。
南三陸高校が定期的に行っている防災に関する特別授業。
普段は、語り部活動を行う地域住民などを招くものですが、今回 学校側は積極的に防災クラブで活動する有川さんを講師役に指名しました。
そして、有川さんと一緒に講師を務めたのは、南三陸高校の卒業生で防災クラブにも所属していた木下巧大さんです。
地元で消防士として勤務する木下さんは、有川さんからの依頼を快く引き受け、知識や技術だけでなく、自分の記憶と経験を後輩たちに伝えました。
<木下さん>
「保育所から一緒だった友達がひとり津波で亡くなっています。その子と最後にした会話を覚えていない。なんでかというと、次の日も会えると思っていたから。なにかあった時だけは、周りの人の命を救えるようになって欲しいと思います」
救えるはずの命を守ることができるように。有川さんの思いは同級生にも伝わったようです。
<同級生>
「分かんないこともあるから聞けて良かった。ここにきて分かったこともあると思うけど、防災士も取って尊敬できると思っていて、知らないことでも知ろうとして勉強も教えてくれるのすごい」
震災の教訓をつなぐためにー。
今回の防災授業を通じて、有川さんの思いもより強くなったようです
<有川さん>
「巧大先輩と同じ職場に就いて、南三陸町を僕と巧大さんと消防職員の方々で守っていけるように。 色んな人に防災について発信していったり防災意識向上に取り組みたいなと思います」