【特集】約10年ぶり復活!「三色だんご」 長岡市の悠久山公園でかつて愛されていた名物 ある青年がパッケージに込めた思い 《新潟》
長岡市の悠久山公園でかつて愛されていた三色のだんご。
職人の高齢化などでその歴史は途絶えていましたがこの春、約10年ぶりに復活しました。
だんごの製造を手伝うのは障がいのある人たちです。
販売を再開した理由……そして、パッケージに込められた思いとは。
満開の桜。その下で花見客が味わっていたのは……。
〈地元の人〉
「懐かしいです、この感じが、三色並んで」
きなこにあんこ、そしてゴマがたっぷりとかかった三色の団子。
その名も、三色だんご(さんしきだんご)です。
長岡市の悠久山公園……だんごは花見の時期の名物として古くから愛されてきました。
販売を手掛けるのは、地元の障がい者支援施設です。
「三色おだんごです、はいどーぞ」
ひときわ元気な声で接客をする男性……多田陸さんです。
多田さん、普段は、ラケットの組み立て作業などを行っています。
そして……障がい者を支援する指導員の神保威宏さんです。
〈中越福祉会みのわの里・ジョイプレイスもみじ 神保威宏さん〉
「手順が決まってるものは得意です、細かいものをコツコツと集中力を持って取り組むことが得意」
施設で働くのは10代から70代までのおよそ20人。全員が障がいを抱えていて、多田さんは知的障がいがあります。
〈多田陸さん〉
「位置を決めてこうやってきちんときれいにするの」
細かい作業が得意な多田さんにはある特技がありました。
多田さんの特技は、絵を描くことです。
個性あふれるキャラクター……。カラフルに彩られた作品は社員の名刺にも使われています。
〈生活支援員 西脇里子さん〉
「かわいくて楽しくなるのがいい。明るくなれる、気持ちが……」
〈神保威宏さん〉
「すごいね、上手だねというと本人がすごく喜ぶので、そういった声がたくさん本人に返ってくる活動が支援者の仕事、本人の取り組みに何か価値が生まれてくるのかなと思います」
施設は“あるプロジェクト”を立ち上げました。
悠久山公園の名物“三色だんご”を復活させようというのです。
100年以上前に、公園内の茶屋が作り始めた“三色だんご”。
しかし、職人の高齢化などで10年ほど前に閉店。その歴史は途絶えてしまったのです。
製造は主に調理士が担当。餅はコスト面などを考慮し、冷凍の物を使うことにしました。
多田さんも仕込みを手伝います。
〈調理師〉
「よくお水を切ってください」
〈多田陸さん〉
「トントントン」
さらに、表紙にデザインされたのは多田さんの作品です。
地元の人の記憶を頼りに材料を調達、試作を繰り返しました。
〈多田陸さん〉
「きな粉……うーん、おいしいです」
販売には乗り越えなければいけない関門があります。
多田さんたちが試作しただんごを施設の人が試食することに……。
用意したのは、ほかの菓子店のだんご。施設の人たちが目隠しで試食を行います。
“三色だんご”の名にふさわしくないと判断した場合は販売を中止するというのです。
試食したのは、中越福祉会の西沢さんと湯本さん。
ふたりとも悠久山の三色だんごの味を知っています。
さらに湯本さんの趣味は、だんごの食べ歩き……法人内で“だんごマスター”と呼ばれています。
食べた瞬間、試作品が分かりました。
〈神保威宏さん〉
「不満を感じるレベルなのかお土産として買ってきてそのレベルを達しているのか」
〈西澤しげみさん〉
「そう大差は感じなくて、別にどれでも大丈夫かなと、商品として大丈夫かなという風に、ただだんごマスターが……」
〈“だんごマスター”と呼ばれる湯本昭一さん〉
「(試作品は)ちょっと白玉っぽい。プロではない、お店ではない感じ」
つきたての餅を使っているほかの団子と比べて、少し物足りないというのです。
それでも……
〈湯本昭一さん〉
「大きさが小さくて子どもとかでも食べるのは非常にいいと思う」
〈西澤しげみさん〉
「私はおいしいけどね」
ふたりは「合格」と判断しました。
しかし、パッケージには不満が……
〈西澤しげみさん〉
「(パッケージが)これだったら夏の何かが入っていそうな。夏のお菓子にこのパッケージはいいんだけど、これを春に売るんだったら春のパッケージが合う」
3月……施設ではもくもくと絵を描く多田さんの姿がありました。
描いたのは、満開の桜……。
〈多田陸さん〉
「桜のピンク、ピンクの桜、きれいな花びら。春みたいないい香りがする」
〈施設の人〉
「もうすぐ桜もいっぱい咲くからね」
「また違う桜も書いてもらいたいな、お願いできますか?」
〈多田陸さん〉
「できます、ぜひとも」
施設での仕事……。月々の収入は決して高くはありません。
日頃は支援を受けることの方が多いかもしれません。
苦手なことも、たくさんあります。
〈神保威宏さん〉
「コミュニケーションだったり、本人が意図しない質問とか許容が難しい。日頃はどちらかというとみなさんに親切にしていただく事が多い。だんごだとか芸術的な活動を通して障がいのある方々が与える側に、そういった機会を通してなっていくことがいい」
4月……悠久山公園の売店にはオープン前から多くの人が集まっていました。
花よりだんご……思わず、そんな言葉が浮かぶほどの行列に……。
Q)昔も食べていました?
〈訪れた人〉
「食べてました」
Q)なくなった時は?
〈訪れた人〉
「ショックでしたね。昔はこうだったねっていいながら(食べたい)」
パッケージには多田さんが描いた、桜の絵。
〈多田陸さん〉
「おいしいなと思ってお団子をどうぞっと喜んでもらいたいと思います」
人と接することは得意ではありません。
それでも、ほかの人の接客を見て学び、1つ1つ三色だんごを渡しました。
そして……
〈多田陸さん〉
「三色おだんごです、どうぞ食べてください、ありがとうございました、よろしくお願いします」
〈訪れた人〉
「完売ですか?」
〈多田陸さん〉
「完売です、すみません」
用意した100個はすぐに売り切れました。
購入した人はどんな反応だったのでしょう。
〈購入した人〉
「すごくいいことですよね、(障がいのある)そういう方がやりがいを持ってやれることを発案して一生懸命……お客さん来ていい流れだと思います」
〈花見客〉
「おいしいです」
〈花見客〉
「甘くておいしいです」
〈地元の人〉
「花よりだんごになっちゃいそうですね、おいしくて、懐かしいです。上手ですね。きれいですねよね、千本桜」
名物の三色だんごは、悠久山に満開の笑顔を咲かせていました。
きっと、来年も……。
2024年4月24日放送 TeNYテレビ新潟「夕方ワイド新潟一番」放送より