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【特集】「自分はダメなんだ…」難病女性が直面する“就職の壁” 求められる雇用側の理解 山梨

2024年11月9日 7:00
【特集】「自分はダメなんだ…」難病女性が直面する“就職の壁”  求められる雇用側の理解 山梨

 国内に100万人いるともいわれる難病患者。多くの方が体調の不安と向き合いながら日々の生活を送っています。こうした中、自らの就職活動を通じて難病患者の雇用の厳しさを痛感し、社会の理解向上や現状改善を訴える女性を取材しました。

■健康な自分がまさか…

「まさかこんなに健康な自分が難病になるなんて思いもしなかったし、つらい気持ちでいっぱい」

 山梨県の中北地域に住む30代の香奈(仮名)さんです。一見、普通の日常生活を送っているように見えますが…

「右足のしびれがある。手がむくんだりするし、立っているのがつらい」

 香奈さんを悩ましているのは、膠原病(こうげんびょう)です。

 「大きな病気とかもないし、ケガもないし健康体だった。結婚した後に子どもが生まれてママさんバレーなどに参加したいが、悲しい気持ちになる」

 香奈さんは子どもの頃から大好きなバレーボールに打ち込み、県大会での優勝経験もあるほどの選手でした。

■突然の異変「何で自分なの?」

そんな彼女の体に異変が起きたのは、去年8月のことです。

「倦怠感。(仕事の)会議の最中にペンを急に放してしまうことがあって、ちょっとおかしいなと思った。生活することも寝ることもつらかった」

 病院での精密検査の結果、指定難病の「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と診断されました。白血球の一部が異常に増加して血管に炎症を起こし、臓器に障害が生じる病気です。

「複雑だった。涙が止まらなくて『なんで自分なの?』と。今後、どう生きていけばいいのか、先行きが分からなくなってしまったというか。自分を恨んだ」

■母も難病「働いて治療費を」

 現在は仕事を休み、投薬治療などを行っている香奈さん。実は香奈さんのお母さんも6年ほど前から難病を患っています。

「難病者としてお互いに当事者だから気持ちが分かる。本当に治療費はすごいかかる。(母には)今までサポートしてもらったので自分が働いて、親の治療費にあてたいと思う」

■「自分はダメなんだ」難病の壁

 今よりも体の負担が少ない仕事を探している香奈さんですが、難病であるがゆえの壁に直面しています。

「障がい者手帳を持っている人の(採用)枠はあるが、持っていない人たちの就労支援がなかなかない。(募集)要項の中に”健康な方“と見てしまうと、『自分はダメなんだ。働けないんだ』と思うと、くやしい気持ち」

■4年で倍増…増える就労相談

 県難病相談支援センターによりますと、就労相談の件数は4年前から倍増していて、香奈さんと同様に職を求める難病患者は多いといいます。

県健康増進課 知見圭子 課長
「国の指定(難病)となると医療費の一部助成制度があるが、長期に渡って病気と向き合っていかなければならない方々なので、経済的な問題は大きいと思う」

 雇用する側の難病への理解も必要不可欠です。

県健康増進課 知見圭子 課長
「一定時間経つと席を外して少し休まなければならないとか、病気の特徴によって影響されることもあるので、そういうところの理解を雇用主が分かっていただきながら、雇用につなげられることが一番大事だと思う」

■難病者が生きやすい社会に

 香奈さんは同じ境遇の難病患者の力にもなりたいと、県や自治体に就職支援を求める要望書を出しました。

「療養支援とか医療の補助とかは全国的に図ってきたかもしれないが、就労支援はまだまだ手厚くない。一番は職場に理解をしてもらう。自分の体調が日によって違うので、環境を整えてくれることで働きやすい職場になると感じている」

最終更新日:2024年11月11日 19:28
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