【特集】80歳にして現役 世界が認める“伝説のテーラー” 尽きぬ夢「誰もがカッコいい」を目指して
80歳で山梨に移住した現役のベテランテーラーがいます。世界のコレクションの常連で、技術の高さから手掛けたスーツはスコットランドのミュージアムに永久保存されるほどの“レジェンド”。富士山の麓で究極の服作りを追求し続ける原動力に迫りました。
ていねいかつ無駄のない動きで、生地を縫い進める男性。
テーラーの広川輝雄さん(80)です。
今年5月、山梨県富士河口湖町に完全オーダーメードのスーツ店「TOYTOY」を構えました。
TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「ここからは絶景が見られる。最高です」
実は広川さん、ニューヨークやパリのコレクション常連で、その腕前はまさに“レジェンド”。「広川さんがつくるスーツが着たい」と、国内の著名人やアスリート、海外セレブからも注文が絶えません。
最大の魅力は「ハンドメイド」。工程の9割を手縫いで行い、スーツの隅々にまで意匠を凝らします。「世界で唯一の一着」を生み出す職人技です。
TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「やっぱり一点物と言われるものをつくりたいと思っています。手縫いは一点一点、体型から全部見て合わせてつくっていって。なおかつ着やすい洋服をつくるので、そこ(既製品と)の違いかな。それを楽しんで作ることがいいかなと」
これまでは東京を拠点に活動していた広川さん。なぜ山梨で働くことを決めたのでしょうか?きっかけは3年前、今の社長である渡辺平祐さん(25)との出会いでした。
TOYTOY 渡辺平祐 社長
「広川さんの技術を見たときに、この技術は本当に素晴らしいなと。下の世代にも伝えていきたいと思いがあって。個人でやっているテーラーもたくさんいるが、下の世代を育てる環境もないので、自社でやっていきたいと思っている」
世界に通じる技術を絶やしたくない。世代を超えて意気投合した2人は渡辺さんの地元、富士河口湖町にアトリエを構えました。