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【特集】80歳にして現役 世界が認める“伝説のテーラー” 尽きぬ夢「誰もがカッコいい」を目指して

2024年12月26日 7:00
【特集】80歳にして現役 世界が認める“伝説のテーラー” 尽きぬ夢「誰もがカッコいい」を目指して

 80歳で山梨に移住した現役のベテランテーラーがいます。世界のコレクションの常連で、技術の高さから手掛けたスーツはスコットランドのミュージアムに永久保存されるほどの“レジェンド”。富士山の麓で究極の服作りを追求し続ける原動力に迫りました。

 ていねいかつ無駄のない動きで、生地を縫い進める男性。

 テーラーの広川輝雄さん(80)です。

 今年5月、山梨県富士河口湖町に完全オーダーメードのスーツ店「TOYTOY」を構えました。

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「ここからは絶景が見られる。最高です」

■世界が認める“伝説のテーラー”

 実は広川さん、ニューヨークやパリのコレクション常連で、その腕前はまさに“レジェンド”。「広川さんがつくるスーツが着たい」と、国内の著名人やアスリート、海外セレブからも注文が絶えません。

 最大の魅力は「ハンドメイド」。工程の9割を手縫いで行い、スーツの隅々にまで意匠を凝らします。「世界で唯一の一着」を生み出す職人技です。

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「やっぱり一点物と言われるものをつくりたいと思っています。手縫いは一点一点、体型から全部見て合わせてつくっていって。なおかつ着やすい洋服をつくるので、そこ(既製品と)の違いかな。それを楽しんで作ることがいいかなと」

■「55歳差」の出会い…山梨へ

 これまでは東京を拠点に活動していた広川さん。なぜ山梨で働くことを決めたのでしょうか?きっかけは3年前、今の社長である渡辺平祐さん(25)との出会いでした。

TOYTOY 渡辺平祐 社長
「広川さんの技術を見たときに、この技術は本当に素晴らしいなと。下の世代にも伝えていきたいと思いがあって。個人でやっているテーラーもたくさんいるが、下の世代を育てる環境もないので、自社でやっていきたいと思っている」

 世界に通じる技術を絶やしたくない。世代を超えて意気投合した2人は渡辺さんの地元、富士河口湖町にアトリエを構えました。

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「若い人が地元に帰ってやるんだったら、手伝えるんだったら行きたいなと思って。二の足を踏むことはないです。どうやって助けられるか、手助けできるかと考えた方が楽しいじゃないですか」

 10月からは仲間も増え、広川さんと働きながらその技術を習得しています。

TOYTOY テーラー 戸田麻奈美さん
「広川さんのクオリティをあの速さでできるのは信じられない。私は広川さんに出会って、自分の人生が変わったのでありがたいと思っています」

■「何でもできる。断らない」

 広川さんのもとにくるオーダーはスーツだけに留まりません。

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「余談ですがこれは和服の帯なんです。帯でバッグを作ってみました。大体できますね。『こういうのほしいんだけど』と言われたら、『分かりました』って言ってやる。それがオーダーだと思うんです」

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「これ(既製品)を与えるのではなくて、お客さまがほしいものを作っていかなければならない。縫うものだったら何でもできる。断りはしない」

■“誰もがカッコいい”を目指して

 15歳から仕事を初め、今年で65年目。

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「あと20年、100(歳)まで現役でいく予定です。いく予定じゃない、『いきます』っていうことね」

 80歳にして、新たな居場所で見据えるものとは…

TOYTOY テーラー 広川輝雄さん
「これからまだまだいろいろなことをやりたいなと思っていますが、体の不自由な人でも洋服がどうやったらきれいに着られるようになるかなとか。車椅子に乗っていても脱ぎ着がしやすいものができたら、最高じゃないかなと思います」

 スーツからはじめるバリアフリー。

 誰もがカッコいいを自由に楽しめる。そんな世界を目指すレジェンド・テーラーの夢は、尽きることがありません。

(YBSワイドニュース 2024年11月26日放送)

最終更新日:2024年12月26日 7:00
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