【解説】自民党の支援はプラス?マイナス? 小池都知事12日に立候補表明へ
20日の告示まで1週間あまりとなった東京都知事選挙。小池都知事は12日の都議会定例会が終わった後に出馬表明をするものとみられています。7月の都知事選挙をめぐる動きについて、政治部の天野記者、社会部の内藤記者に話を聞きました。
鈴江奈々キャスター
「政治部の天野記者、社会部の内藤記者と中継を結んでいます。まずは社会部・東京都庁担当の内藤さんに聞きます」
社会部・東京都庁担当 内藤ミカ記者
「東京都議会は12日に都議会定例会が最終日を迎えますが、小池知事は都議会本会議の議事がすべて終わった後に発言する予定で、順調にいけば午後2時20分ごろに出馬表明をするものとみられています」
鈴江キャスター
「出馬表明のタイミングについてですが、蓮舫氏など他の候補者の動きをみてこのタイミングになったとみられるのでしょうか?」
内藤記者
「小池知事に近い複数の関係者は、『それはない』と否定しています。『小池知事は、選挙戦が始まってから他の候補者の動きや政策をみることはあっても、自身の表明の時期には全く影響しなかった』『もともと、議会最終日に自らの考えを議員に伝えるという考えだった』と説明しています」
内藤記者
「一方で、ある都民ファーストの関係者は、『蓮舫氏の勢いが続くかを見極めるためだった』と別の見方を示しました。蓮舫氏が出馬表明会見で『反自民、非小池、東京都政のリセットが私の使命』と訴えた姿をみて、小池氏周辺は『蓮舫氏への“追い風”、小池氏への“逆風”の突風が吹き荒れた』『出馬表明するタイミングは、“突風”がどうなるかを見極めて判断したかったのだろう』と分析しました」
鈴江キャスター
「小池知事はそもそも都議会定例会が開会した先月29日に出馬表明するとの見方もありましたよね?」
内藤記者
「ある小池知事の周辺は『蓮舫氏の突然の出馬表明を受けて取りやめたのでは』と分析し、その理由について『都知事選は後出しジャンケンが有利というのは常識』と説明しています。4年前の選挙では、小池知事はコロナ禍を理由に街頭での選挙活動などはしなかったものの、抜群の知名度を生かし圧勝しました。一方で、20日の告示まで1週間あまりに迫っていますので、ギリギリのタイミングとして12日の表明になったと考えられます」
鈴江キャスター
「続いて政治部の天野記者に聞きます。小池知事に対して10日、自民党は支援する方針を確認しています。自民党の支援は小池都知事にとってプラスになるのか、マイナスになるのかどちらと考えられているんでしょうか?」
政治部 天野記者
「プラス面、マイナス面両方あるとみています。まずプラス面ですが、小池知事にとって都知事選での自民党の組織力はプラスと言えます。一方で、自民党は裏金事件の影響もあってか、衆議院の補欠選挙や静岡県知事選など選挙で連敗が続いています。小池知事にとってマイナス面としては、自民党と一緒とみられれば、選挙で逆風を受けるという不安があるわけです。ある自民党都連の議員の1人も『今は自分たちが前面に出れば出るほど蓮舫陣営の思うつぼ』とかたっています」
「ただ自民党としても、独自の候補者を立てられないまま不戦敗に終わるのはさけたいところです。そこで今回、小池氏支援を決めたわけですが、苦肉の策として出ているのが、『確認団体』の立ち上げです」
鈴江キャスター
「確認団体?」
天野記者
「確認団体というのは、候補者本人ではないものの、選挙運動期間中に特定の政治活動をすることが認められる政治団体のことです。自民党は直接応援することをさけ、自民党色を薄くするため、この『確認団体』を通じて応援することを検討しています」
「しかし、小池知事側は『確認団体であったとしても、自民党の支援を受けるのは選挙にマイナスだ』として慎重な意見も根強く、どう応援するかについて調整が続いています」
鈴江キャスター
「小池都知事側がその支援をことわるということもあり得るんでしょうか?」
天野記者
「なくはないと言えます。やはり自民党の逆風というのをそのまま受けるというのは困るなというのが率直な意見なんだとは思います」
鈴江キャスター
「対する蓮舫氏については、立憲民主党は応援するにしても、それ以外の政党のスタンスというのはどうなんでしょうか?」
天野記者
「立憲民主党にくわえ、共産党が応援する方針です。ただ、ある立憲幹部は『本当に困っている』と困惑気味です。共産党の一定の票を期待できる一方で、共産党の色がつきすぎることで離れていく層があるからです。野党第2党の日本維新の会、そして国民民主党は今回、蓮舫氏を応援はしません。その一番の理由が『蓮舫氏が共産党の応援をうけているから』としています。日本維新の会はまだ自前の候補者の擁立も検討していますが、野党側も一枚岩というわけではありません」