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10年度予算成立も、官僚との間で緊張続く

2010年3月24日 20:51
10年度予算成立も、官僚との間で緊張続く

 鳩山政権の発足後初めてとなる10年度予算は24日午後、参議院本会議で可決・成立した。子ども手当や高校無償化など、鳩山政権が掲げる「政治主導」が色濃く出た形となった。しかし、鳩山政権を公然と批判する官僚はいないものの、依然として緊張関係が続いていて、予算が成立しても今後の政権のかじ取りは難しい状況となっている。

 鳩山首相周辺の官僚からは「完全に官僚を敵に回しかねない状況になっている」との声が聞こえてくるほか、別の官僚が「政治主導の一番の弊害は官僚のサボタージュ。鳩山政権は一回失敗しないとわからない」と突き放すなど、鳩山政権は霞が関からの静かな抵抗を受けているだけでなく、極めて難しい課題に直面している。

 一つは深刻な財源不足。今後、子ども手当の満額支給や基礎年金の国庫負担の引き上げだけでも新たに5兆円を超す財源が必要だが、事業仕分け第2弾などで大きな財源を生むのはほぼ不可能だ。そのため、マニフェストの見直しや増税など厳しい決断を迫られる。

 その一方で、国民新党は早くも11兆円を超える補正予算案の編成を求めており、財政は完全に行き詰まっている。

 今の鳩山政権に、明るい材料は見られない。

 アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題は、23日夜から本格的な調整が始まったが、鳩山首相が模索していた県外への移設は風前の灯火(ともしび)だ。また、政治とカネの問題は政権に重くのしかかり、支持率も下がる一方となっている。

 政治主導には必要不可欠な国民の信頼を取り戻す手立ても見えず、鳩山政権の羅針盤なき航海が続く。