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“赤字国債“成立の見通しで緊迫感高まる

2012年11月13日 20:37
“赤字国債“成立の見通しで緊迫感高まる

 「暴走老人の石原でございます」「私はかねがね国政にいろんな大きな不満を抱いてきました」「このままじゃこの国は沈むぞというその民意が一番強いと思う。それこそが大同する一番大きなモーメントになると思っています。太陽の党は、ほんの一過程に過ぎません。必ず選挙の前に大同団結します。必ずします」「必ず大同団結で、新しい関ヶ原の戦いに勝ちます。勝つために団結します」新党結党の会見で、こう語った石原氏。会見に先立って発表された新党の名前は「太陽の党」。

 実は石原氏と「太陽」は昔から関わりがありました。作家としてのデビュー作のタイトルが「太陽の季節」。当時、史上最年少で芥川賞を受賞し、映画化もされました。さらに石原氏のヘアースタイルをまねた「慎太郎刈り」に「アロハシャツ」を着た若者は「太陽族」と呼ばれ社会現象ともなりました。石原氏と言えば「太陽」というイメージを持つ人も多いのです。

 石原氏が連携を呼びかけている日本維新の会・橋下徹代表は「石原さんらしい名前ですよね。すぐわかります、石原さんということが」と語りました。記者からの「正式に新党が立ち上がることで連携の交渉は弾みがつきそうか」という問いかけには、「松井幹事長と浅田政調会長に委ねているので、また、今週ですかね、来週ですかね、協議をやると聞いていますけどね」と述べるにとどまりました。

 一方、自民党・石破幹事長は「小異を捨てて大同につくという言葉のもとに、政策が異なるところと組むことは、私は日本政治のために決して良いことだとは思っていません」と語り、太陽の党と日本維新の会などとの連携、いわゆる「第3極」の結集について、けん制しました。

 石原氏は会見で「自民党・公明党はこのまま(衆院総選挙を)やったら、過半数取りかねない。これは私は許せないと思う」「新しい関ヶ原の戦いに、既存の公明党、自民党、民主党を含めた、既存の大政党に対抗する。これは旧軍だ。私たちは新軍として新旧の戦いを挑みます」「新しい戦をするために、大同団結して新旧の両軍で、この戦いを戦いたいと思います。そのために必ず大同団結します」「大同団結する」と繰り返した石原氏。いわゆる「第3極」を結集し、次の衆議院選挙で既存政党に勝利すると何度も強調しました。

 一方、衆議院解散に向けた環境整備できょう、進展がありました。それは野田首相が解散を判断する前提の1つ、赤字国債発行法案の扱いです。自民党・甘利政調会長は「これ以上、特例公債(赤字国債)が発行できない状況を、野ざらしにすべきではないという判断に至ったということです」と語りました。民主、自民、公明の3党は、2015年度まで赤字国債の発行を認めるなど法案を修正することで合意しました。これにより、赤字国債発行法案は今の国会で成立する見通しで解散判断の前提の1つがクリアされることになります。さらに、社会保障制度改革のための国民会議の設置についても実務者協議に入ることで一致。解散判断の前提がまた1つ進展しました。

 この国民会議について、野田首相はきょう「早期に国民会議を立ち上げて議論できる環境を作ることが共通の責任だと思いますし、3党合意を踏まえて着実に前進させていく政治を目指したい」と述べ、解散総選挙後も自民党や公明党と、税と社会保障の一体改革実現のため協力していきたいとの姿勢を示しました。ただ、解散の時期については「特定の時期を明示するということは、控えさせていただきたいと思います」と語りました。

 こうした中、民主党内では解散への反対論が公然と唱えられています。民主党・鹿野議員は「解散をして政治空白をつくる時ではないということを、国民に丁寧に説明して国民の理解を得るということがこんにちの総理のあるべき姿ではないかと思っている」と語りました。野田首相と距離を置く鹿野グループは、「今は解散すべきではない」とする申し入れを、輿石幹事長に行いました。また、きょう、行われた党の常任幹事会でも早期解散に反対の意見が相次いだといいます。民主党・渡部恒三最高顧問は「100人が100人みんな同じ意見だ」「来年の8月、9月まで任期があるので、その前に解散なんてあり得ない」と語りました。

 党内の反対論をよそに解散に向けた環境整備は着々と進んでいます。あすは党首討論。野田首相はどんな発言するのか。政局は大きなヤマ場を迎えることになります。