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「夏休みいらない」13%──困窮家庭の切実な声 給食ナシ、エアコン代で負担増 “体験格差”の悩みも【#みんなのギモン】

2024年8月7日 10:09
「夏休みいらない」13%──困窮家庭の切実な声 給食ナシ、エアコン代で負担増 “体験格差”の悩みも【#みんなのギモン】
あるアンケートでは、7割超の親が「夏休みは疲れる」と回答しています。物価高が続く中、経済的に困窮する家庭にとって夏休みは生活費が重くのしかかるため、厳しさが増しています。「特別な体験をさせられない」という悩みも深く、支援が求められています。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「“夏休みいらない”親子に負担?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●物価高で…“食事減らした”
●夏休みの体験“させられない”

■子どもの夏休みは負担?…調査結果

馬野恵里花・日本テレビ社会部記者
「子どもの夏休みを負担と感じるお父さん、お母さんが少なくありません。3歳~12歳の子を持つ父母に、小学館『HugKum』がアンケート調査を実施。『子どもが夏休みだと正直親は疲れますか?』という質問に、7割を超える71.4%の人が『はい』と回答しています」

■ケンカ、宿題…疲れる理由の1位は?

馬野記者
「疲れる理由は何なのでしょうか? 8位は『きょうだいゲンカの仲裁』です」

鈴江奈々アナウンサー
「過ごす時間が増えるとね…」

森圭介アナウンサー
「まあ、それだけ長い時間一緒にいますからね。それはそうなります」

馬野記者
「6位は『自由研究や宿題を見る』です」

鈴江アナウンサー
「何にするかと、いつも悩みますね」

馬野記者
「4位は『家事がいつもより増える』。最も多かった1位は『食事の準備』です」

鈴江アナウンサー
「めちゃくちゃ分かります。3食食べるというのがこんなにも負担が増えるんだと実感します。お昼ごはんの準備はちょっとずつ子どもにできることにシフトしたいんですけど、まだ一気にはできません。『給食ありがとうございます』という気持ちです」

森アナウンサー
「子どもと一緒に過ごす時間が長くなる夏休みは楽しいと思いたいけれども疲れちゃうという、相反する気持ちが…。楽しくありたい、と思っています」

■宿題や食事にまつわる保護者の悩み

馬野記者
「調査では親御さんから、『夏休みの宿題が多すぎる』(30代・栃木)、『学童のお弁当の用意』(40代・神奈川)、『常に何か食べたいがある。何を食べさせるか迷う。退屈と言われると何かさせなくちゃと思う』(30代・広島)といった声が上がりました」

河出奈都美アナウンサー
「私も夏休みの宿題が終わらなくて母に付きっきりでやってもらったことがあったなと思い出します。当時は、親が一緒じゃなくても子ども同士で勝手に外に遊びに行ったりとかもしていたんですけれど、今はそうもいかないんですよね」

鈴江アナウンサー
「外が暑くて難しいと思います」

■「3食ごはん作らなきゃ」…街の声は

馬野記者
「昔と事情が変わっているところもあると思いますが、街の人からはこんな話も出ていました」

高3と小2の親
「お昼ごはん作るのがめんどくさい。考えないといけないとか。どこに連れて行けばいいか。なかなか暑いので、公園とかも行けないので。どこ行こうみたいな。もてあます」

小2の親
「3食ごはんを作らなきゃいけない。宿題を見ないといけない」

小4と小2の親
「やることがない。外に行くにも暑くて、あまり外で過ごせないので、どうしようかなって」

刈川くるみキャスター
「(多くの場合)1か月以上ありますしね。私の家ではお昼ごはんを子どもたちで作ることにしていて、楽しかったです」

「ただ、ごはんや遊びに行く場所で親がこんなに悩んだり大変な思いをしたりしていると当時気付いていなかったので、今だったらもっと手伝えたなと、今更ながら感じますね」

■シングルマザーの女性に聞いた実態

馬野記者
「いろんな負担があるんですが、夏休みは家計の負担が増すという声もあります。特に、ひとり親の家庭などは苦しさを感じているといいます」

「私が取材した、大阪府に住むシングルマザーの30代女性の場合、小学1年生の娘が初めての夏休みを迎え、さまざまな問題に直面したそうです。『給食がないだけで金銭面も食事を作る手間も、本当に負担が増える。家計のためにも仕事を休めない』と言います」

「都内に住むシングルマザーの40代女性は、中学生1人と小学生2人の息子を育てています。『物価高が続く中でお米を買うのも高い。夏休みだとクーラーなど光熱費の高騰も影響を受ける』と話していました」

■困窮世帯、物価高による家計の変化は?

馬野記者
「経済的に困窮している子育て世帯が、夏休みにより厳しさが増すということが、調査でも明らかになっています」

「困窮世帯への支援などを行っているNPO法人『キッズドア』の調査です。困窮している子育て家庭1800世帯あまりを対象にアンケートを行いました。まずは夏休み以前に、そもそもの生活が厳しいということを知ってもらいたいと思います」

「物価の高騰が続く中、去年からの家計の変化について77%の人が『とても厳しくなった』と答えています」

鈴江アナウンサー
「買い物に行くとあらゆるものが値上がりしているなと感じるので、家計に直撃していますよね」

森アナウンサー
「これがベースになっているということですよね」

馬野記者
「それを踏まえた上で、日々の食事の中で『肉・魚を減らした』『野菜を減らした』と答えた人はそれぞれ57%ずつ、『子どもに食べさせるため保護者の食事を減らしたり抜いたりしている』は58%となりました」

「子どもに栄養バランスのいい食事をさせてあげられないことに悩む親御さんが多くいました。こうした状況の中で夏休みを迎えると、給食がなくなり、さらに追い詰められてしまいます」

森アナウンサー
「給食の無償化が進んでいるところはまだ全国でも3~4割ほどです。(夏休みではない)平時から食費に困っていらっしゃる方にとって、給食費(の負担)なしで給食を食べさせられていたのが、夏休みになるとそこがなくなってしまうのが大変ということですよね」

■子どもの夏休みの「長さ」どう思う?

馬野記者
「困窮世帯にとっては、夏休みの悩みは食事だけではありません。キッズドアによる困窮世帯への調査の中で、夏休みが『今より短い方がよい』と答えた人は47%、『なくてよい』は13%いました」

「理由としては、子どもが家にいることでエアコン代など生活費がかかるから、という答えが78%と最も多くなりました。同じく7割を超えて74%だったのは、『子どもに夏休みの特別な体験をさせる経済的な余裕がないから』でした」

「最近、体験格差の問題が指摘されていますが、単に遊びに行って楽しいではなく、学びや出会いのチャンスの差が生まれてしまうとも言われています。学力の差や将来の所得の差につながる可能性もあると言われています」

■少しでも楽しく過ごしてもらう工夫

馬野記者
「取材した親御さんは、悩みながらも少しでも楽しく夏休みを過ごしてもらいたいと工夫していました」

「先ほど紹介した都内のシングルマザーの女性は、『家族みんなで、一番かわいいセミを見つけられた人が優勝!のような大会をしたり、“ふりかけパーティー”をしたり、背伸びせずできる範囲でやっています』と話していました」

鈴江アナウンサー
「子どもたちが喜びそうな企画ですね。素敵」

河出アナウンサー
「親御さんの温かい気持ちも伝わってきますよね」

馬野記者
「体験格差をめぐっては、NPOや企業が格差を解消しようとイベントを開催するといった動きが広がっています。ただ、そうした支援の情報が届きにくいという声も聞かれています」

鈴江アナウンサー
「夏休みはまとまった時間ができることで、親にとってやることも増えます。負担という側面もあるかもしれないんですけれども、いつもと違う時間を過ごすことで、ぐっと成長する期間でもあるんですよね」

森アナウンサー
「普段やっているささいなことが、長く時間をかけることによって特別になったりもしますからね」

■NPO法人理事長に聞く…社会のあり方

鈴江アナウンサー
「工夫することで乗り越えることもできるとは思うんですけれども、一方で経済的に困窮していることで体験をなかなかさせてあげられないという声もあるのが実態です」

「困窮世帯、特にひとり親世帯の約半数が相対的な貧困とも言われています。そういった世帯への社会的な支援も求められますよね」

馬野記者
「ひとり親の家庭では、少しでも収入を増やそうと頑張って働いた結果、これまで受けられていた給付の対象から外れてしまったり、児童扶養手当が減ってしまったり、結果的により困窮した状況になってしまうこともあるといいます」

「キッズドアの渡辺由美子理事長は『本当に困っている方に手厚く支援することが必要』とした上で、『普通に働けば普通に子育てができる社会を実現してほしい』としています」

(2024年8月6日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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