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茂木幹事長 9月の総裁選にらみ東南アジアで外交力アピール 裏切り者“明智光秀”にならずに出馬する秘策とは―

2024年8月5日 13:34
茂木幹事長 9月の総裁選にらみ東南アジアで外交力アピール 裏切り者“明智光秀”にならずに出馬する秘策とは―

「ポスト岸田」への意欲をにじませている自民党の茂木幹事長は、先月28日から東南アジア4か国を歴訪し、9月の総裁選も見据え、得意の外交力をアピールした。一方、総理を支える幹事長という立場から総裁選への出馬には、裏切り者「明智光秀」になぞらえた批判が茂木氏にはつきまとう。「明智光秀」にならずに出馬する秘策はあるのか―。

■東南アジア4か国歴訪…外交力をアピール

「キャンバス地で比較的たくさん入るんですよ。海外出張には絶対持って行きますよ」

外相も務め“外交力”には定評がある茂木氏。「海外に必ず持って行くものを教えてほしい」との記者の求めに応じ、見せてくれたのはお気に入りの旅行バッグだった。3代目になるというこのバッグとともに、東南アジア4か国を歴訪した8日間。

茂木氏はシンガポールのウォン首相、フィリピンのマルコス大統領ら各国の要人と相次いで会談した。さらに、自身が全面解禁を訴える「ライドシェア」をめぐっては、すでに利用が定着しているインドネシアで事業者と面会し、その有用性を改めて確認していた。

フィリピンで日系企業の「スマート農業」を視察した際には、「超ハイテクではなく、この地域・国で使える技術を提供しているのは素晴らしい。こうしたことをやるのは重要だ」と我が意を得たりの様子。

9月の総裁選も見据え、自身の主張や政策に関わる視察を行い、アピールも欠かさなかった。

■海外にも同行“盟友中の盟友”梶山幹事長代行

「梶山代行はずっと一緒に仕事をしてきた盟友中の盟友でありまして」

最初の訪問国のインドネシアで、茂木氏は同行している梶山幹事長代行をこう紹介した。その後に訪れた各国でも、「盟友中の盟友」という紹介を繰り返した。

今まで経済産業相や地方創生相などを歴任してきた梶山氏。1955年生まれで、茂木氏とは「同い年」という共通点もある。茂木氏が幹事長に就任した2021年11月から現在まで、幹事長代行という立場で茂木氏を支えてきた。

そんな梶山氏は、3番目の訪問国タイでNNNの単独インタビューに応じた。茂木氏について「そばで仕事を見ていると真正面から課題に向かっていく方だと思う。仕事に対しては厳しい方だ」と述べた一方で、「ざっくばらんに生活、家族のことを話すこともある。そういう茂木さんを知ってもらえると、仕事の厳しさと合わせて魅力がわかってもらえる」と語った。

さらに梶山氏は、「3年間、幹事長と幹事長代行という形でやってきた。別な選択肢は私にはない」と述べ、茂木氏が総裁選に出馬をすれば支持する考えを明らかにした。

■茂木氏、判断基準は「難局を乗り切るのにふさわしい人物なのか」

「(首相を支えるべき)今の仕事がどうであるとか、例えば明智光秀になるんじゃないかとか、色々な意見があるかもしれませんけれど、この難局を乗り切るのにはどうしたら良いのか、また自分はそれにふさわしい人物なのか、これは大きな判断基準だ」

総裁選には出るのか出ないのか。茂木氏の去就が注目される中、本人は判断の基準について、こう語った。

判断の時期についても、これまで通り「9月上旬まで」に判断するとしか話さなかった。茂木氏周辺も「まずは岸田首相が立候補をどう判断するか。それで構図は一変してしまう」と話す。政権ナンバー2だけに岸田首相次第、受け身である面は否めない。

■裏切り者“明智光秀”にならない道 最初でなければ良い?

茂木氏はこれまで“裏切り者の明智光秀にはならない”と強調し、岸田首相が再選を目指す限り、自らが総裁選に出馬することはないという趣旨の発言をしてきた。

ところが、これに変化が見られたのが先月。BS日テレの「深層NEWS」に出演した際に「明智光秀は1人で本能寺を急襲をした。自分が総裁選に“最初に”手を挙げることは絶対ない」と述べた。“最初に”を付け加えたことで、自分より先に総裁選に名乗りをあげる人がいれば、自らも立候補する可能性があると受け取れる発言だった。

盟友と呼ぶ梶山幹事長代行も、「誰が出ては駄目だということはない。乗り越える情熱があるかどうか」と述べ、党の幹部や閣僚でも出馬は制限されないとの考えを示し歩調を合わせている。

ただ、岸田首相に近い自民党幹部は「茂木さんは一番最後に手を挙げる作戦だ。彼らしい感じだけど、それでも幹事長のままで手を挙げれば“光秀”であることに変わりはない」とけん制している。

総理総裁への意欲を隠さない茂木氏。果たして幹事長のまま立候補に踏み切るのか。この夏、大きな決断を下すことになる。