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今年の外交、東アジアの安定どう図る?

2014年1月3日 22:37

 2014年の安倍政権の外交課題は、靖国神社への参拝でさらに悪化した中国、韓国との関係を修復し、同盟国であるアメリカと連携しながら東アジアの安定をどう図っていくかだ。

 安倍首相は1月から、アフリカと中東・オマーン、スイスでのダボス会議、インドとフル稼働で外国を訪問する予定。就任1年間で25か国を訪問するなど「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を2014年も積極展開する方針だが、この地球儀の中でも、特に鍵となるのが、日本の近隣国である中国と韓国だ。靖国神社参拝により、さらなる関係悪化を招いた両国との関係修復が、安倍外交の課題となる。

 その大きな理由は北朝鮮だ。韓国・金寛鎮国防相は「北朝鮮が今月下旬から3月初旬の間に軍事的な挑発を行う可能性が高い」との見方を示している。こうした中、日本は同盟国であるアメリカに加え、中国や韓国と連携しながら北朝鮮と向き合い、東アジアの安定を図っていく必要がある。

 しかし、まず日中関係をめぐっては、尖閣諸島周辺の領海侵入や防空識別圏の設定など、海と空双方への積極進出を図る中国と、日本は激しく対立している。また、日韓関係も竹島をめぐる領土問題や「従軍慰安婦」の問題に加え、戦時中の強制徴用問題をめぐって韓国の裁判所が日本企業に賠償を命じる判決が相次ぐなど問題が山積している。

 こうした中、第2次安倍政権が誕生して以来、日中、日韓の間で正式な首脳会談は一度も実現しておらず、安倍首相の靖国参拝により、首脳会談の実現はさらに遠のくことが予想される。つまり北朝鮮という不安要素を抱える東アジアの情勢について首脳同士が直接対話をし、意思疎通を図ることができない状態が続いているわけだ。

 こうした状況に強い懸念を示しているのがアメリカだ。安倍首相の靖国参拝について、「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことにアメリカ政府は失望している」と異例の強いメッセージを打ち出したのも、日中、日韓の関係悪化が東アジアのさらなる緊張状態を招きかねないと、アメリカ政府が強い危機感を持っているからだ。

 自らの決断が招いた状況の中、事態をどう打開するか、2014年は、安倍外交の真価が問われる一年になる。