日本テレビの情報番組で、弁護士から紹介された偽の「詐欺事件被害者」を取材し、放送したことについて、ＢＰＯ（＝放送倫理・番組向上機構）は５日、「放送倫理違反とまでは言えない」とする意見書を発表した。

　これは、日本テレビの朝の情報番組「スッキリ！！」が１２年、インターネット詐欺の被害者として放送した男女２人が、この２人を紹介した弁護士の事務所の職員だったというもの。ＢＰＯの放送倫理検証委員会は半年にわたる審議の末、「裏付け取材は不十分だった」としながらも、「放送時点において、２人が被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠が存在した」と判断した。さらに、「弁護士が紹介し、取材にも立ち会っているのに、その人物が実際の被害者かどうか、客観的証拠で確認することまで要求しては、番組制作の意欲をそいでしまいかねない」などとして、「放送倫理違反があるとまでは言えない」と結論づけた。

　これに対して、日本テレビは「本日の意見を真摯（しんし）に受け止め、今後の番組制作に活（い）かしてまいります」とコメントしている。