消費増税、W選の行方は? 政治部長に聞く

伊勢志摩サミット、そしてオバマ大統領の広島訪問と大きな外交日程が終わった。これをどのように評価するのか、日本テレビの伊佐治健政治部長に聞く。
■サミット、オバマ氏の広島訪問をどう評価?
オバマ大統領の広島訪問は、外交当局が積み上げた安倍政権の大きな成果といえる。一方で、サミットは一番のテーマである経済で思い描いた通りにはいかなかった。
来年の消費税率の再引き上げを見送る材料が欲しかった安倍首相は、「世界経済はリーマンショック前に似た危機的な状況」で、「危機克服のため財政出動」をやろうと呼びかけた。
だが、まとまった首脳宣言では「新たな危機を回避する」「財政戦略を機動的に」とした。お金を使うだけではなく切りつめることも含んだ「財政戦略」に落ち着いた。
説得のために原油などの商品価格がリーマンショックの時のように下がっているなどと示した、安倍首相が用意した資料も都合の良いデータだけを集めていると批判も出た。
■消費増税はどうなる?
それでも安倍首相は、消費増税見送りの方針を固めた。理屈で少々無理があっても、最後は国民は増税見送りを支持すると期待している。
28日夜にも麻生財務相らとの調整に入るが、6月1日の会期末までに表明する方向。野党はアベノミクスの失敗だと批判を強める構えだが、安倍首相はある与党幹部に議論になっても「論破できる」と断言したという。これが力強さなのか、あるいは強引と受け止められるか、来週の記者会見は重要となる。
■衆参ダブル選挙の行方は?
焦点となっている衆参ダブル選挙について、安倍首相は最近も関係者に前向きな姿勢をにじませていたが、困難な情勢になっている。
そもそも参議院選挙は、甘利大臣の辞任などに象徴されるような自民党のおごりが目立つと、お灸をすえてやれという有権者の思いが働きやすく、第1次安倍政権のように大敗につながる例が多い。
安倍首相は衆議院議員もフルに動く衆参ダブル選挙で乗り切る事を検討してきたが、熊本地震への政府の対応を国民が支持し、今回、オバマ大統領の広島訪問も実現した。参議院選挙単独でも十分に勝てるという見方が与党内に強まってきた。
安倍首相の決断を待たずに、すでに閣僚の一人がダブル選挙の準備を解除したり、自民党も公明党も参院単独を前提に準備している。ある与党幹部は、この流れに逆らって解散に打って出た場合、混乱が生じ、衆参共倒れになりかねないと警告する。
安倍首相に近い与党幹部が27日夜も「まだないとはいえない」と話しているが、会期末に向けて安倍首相の最終決断を与野党が見守っている。