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プーチン大統領“胸の内”は? 記者解説

2016年9月20日 21:07
プーチン大統領“胸の内”は? 記者解説

 12月の首脳会談が歴史的な会談となるのか、プーチン大統領の出方が注目されている。今回のポイントは「プーチン大統領の胸の内」。日本テレビ政治部・矢岡亮一郎記者が解説する。


――プーチン大統領の出方が注目されているが…

 複数の交渉担当者は「プーチン大統領の発言は後退している」と分析している。


――期待が高まる中、後退?

 その根拠は、少なくとも二つある。まず大統領就任、翌年2001年の当時の森首相との首脳会談、実はここに安倍首相も官房副長官として同席しているが、この場でプーチン大統領は、「4島の帰属の問題を解決して…」と当時、北方4島の問題は「未解決」だとしていた。

 ところが今月5日の記者会見など最近は、「第二次大戦の結果、獲得した領土だ」と話している。つまり4島すべてロシア領だ、と交渉の前提を変えている。


――「未解決」から「すべてロシア領」では、明らかに後退なのでは?

 さらに、交渉にあたってプーチン大統領が繰り返すのが、「56年宣言は有効だ」という発言。これは1956年の日本とロシアの前身旧ソ連との合意文書で、「平和条約を結べば、歯舞・色丹の2島は引き渡す」という内容だ。


――2島は引き渡す用意がある、ということなのだろうか?

 ただし、最近はこれに付け加えて、「2島引き渡すと書かれているが、主権をどちらが持つかは書かれていない」。つまり、仮に2島を引き渡しても、日本の主権を認めない、ロシア領だと主張する可能性を示唆しているのだ。


――2島は引き渡しても、主権は認めないという状況がありうるのだろうか?

 島は自由に使わせるが、島の権利は引き続きロシアが持つという理屈のようだ。


――そうなると12月の進展は、なかなか厳しい感じもするが…

 しかし、期待できるポイントもある。それは「テタテ会談」だ。語源はフランス語だが、外交用語で一対一、つまり通常双方10人以上いる通訳以外の同席者をすべて退室させた安倍首相とプーチン大統領の二人きりの密談のことだ。

 最近の日露首脳会談は、この“テタテ”の時間がどんどん増えている。今月の首脳会談は、全体3時間10分のうち、55分間も2人きりで話し込んでいる。ある交渉関係者は、「テタテの直後、両首脳は高揚感にあふれていた。突っ込んだやりとりをしたのだろう」と話している。

 北方領土交渉、この“テタテ”で打開できるのか、注目される。