乳がん闘病から“ボディーメイク”大会へ 支えは “筋トレ”と娘たち 人生に必要な“ユーモア”とは…『every.16時特集』
体を鍛えることが趣味という51歳女性。実はいま、がんと闘っています。支えとなっているのは娘と一緒に挑戦する“ボディーメイク”。がんと向き合い、体を鍛えて大会にも出場を続けています。“トレーニングで前を向きたい”というその思いを取材しました。
司会
「サイドポーズ」
健康的な肉体美を競うボディーメイクの大会で華麗なポーズを決めるこちらの女性。実は…
たまきさん
「右胸の乳がんと診断受けまして…」
およそ7年前、乳がんと診断され、右胸を全摘出しています。それでも大会に出場し続ける思いは――
たまきさん
「一つ一つの大会が…出られること自体が奇跡だなって思っています」
病と向き合う強さ…彼女の挑戦を追いました。
トレーニングジムに週3回ほど通っているという大畑たまきさん、51歳。
たまきさん
「きつい」
自信があるのは、上腕三頭筋と、この体の柔らかさ。
たまきさん
「学生の頃は体操部だったので」
昔から体を動かすことが好きで、フィットネストレーナーとして働いていました。人助けをしたいと42歳で看護師に転職。その後もトレーニングを辞めることはありませんでした。
たまきさん
「体使った後は気持ちも前向きになりますし、体も軽くなります。筋トレしないと気持ち悪いみたいなハハハ」
しかし、およそ 7 年前に乳がんと診断され、右胸を全摘出。さらに…
たまきさん
「これが…影があるってわかってて」
2年前には、骨盤への転移が判明。今は、懸命な治療で、がんの進行を抑えています。
たまきさん
「今も思い出しただけで泣きそうになるんですけど…本当に辛かったですね」
そんな時も支えになったのが、趣味だったトレーニング。転移がわかった翌日も、たまきさんはジムに来ました。
たまきさん
「いろんなことを考えすぎて…余計、自分が落ち込むので」
汗を流している間だけは、暗い気持ちを忘れられたといいます。
たまきさんが、なぜ大会に出るようになったのか――。きっかけは、SNSで目にしたこんな言葉でした。
――“人生にはユーモアとサプライズが必要である”
たまきさん
「それを見た時に自分に必要なのはユーモアなんじゃないかなってすごく思って」
たまきさんなりのユーモアとサプライズこそが大会に出場すること!2年前から10回以上、舞台に立ち続けてきました。
さらに、自分の経験が誰かの役に立てばと思い、体に負担をかけないように工夫を凝らしたトレーニングを発信。反響もありました。
たまきさん
「私の投稿を見て、『私も筋トレやってみます』みたいなのが、同じ乳がんの患者さんがいる。みなさん病気で暗い気持ちになっている方もいらっしゃるかと思うんですけど、ちょっと筋トレで、みんなで明るい気持ちになれたらいいなってことで」
ボディーメイクの大会に出ることも「同じ境遇の人に、明るい気持ちを届けたい」と願うたまきさんの思いが込められています。
たまきさんを前向きな気持ちにさせてくれる存在が、ひとり親として育ててきた娘たちです。大学生の二女・くるみさんと、長女・なのはさん。
なのはさん
「母の日であげようと思って、これがメイン。これはスーパーに寄ったらいい感じで(夜勤)明けで衝動買いしました」
なのはさんは2023年、母と同じ看護師の職に就きました。そこには母への思いが…
なのはさん
「辛そうな母を見て自分は何もできないんだって無力感を感じた時に、看護師だったら何かできたんじゃないか」
さらに、一緒に大会にも出場するように。
なのはさん
「母と一緒に出て思い出作りたいっていうのもあるんですけど、家族との思い出として、一緒にやっていけたらなと思う」
今年も2人でエントリー。“楽しむ”ことをモットーに臨みます。大会までおよそ2か月。この日、長女・なのはさんを訪ねると、トレーニング…ではなく、こんなことを…
なのはさん
「あんまり整理できていなかったので」
今まで一緒に大会に出た写真を集めていました。お母さんがステージに立つようになったとき、その姿を見て驚いたといいます。
なのはさん
「すごいキラキラしていました、母が。別人だったなって思います」
前向きに人生を切り開く母と一緒に出場した思い出を形にしたい――。なのはさんは、お母さんに内緒で、あるものを作っていました。迎えた大会当日。2人はホテルで、ポージングにトレーニングなど、悔いが残らないようギリギリまで準備を続けました。
なのはさん
「スパルタ~」
美容院も仲良く2人で。およそ45分かけて、セット完了です。
なのはさん
「とりあえずバシっと決めて、メインのポーズがあるんですよね」
ポーズをとる、たまきさん。
なのはさん
「それ好きなので、応援してます」
たまきさん
「2人で一緒に楽しむぞ」
「おー!」
2人がエントリーしたのは、栃木・宇都宮で行われる大会。年齢別でクラスが分かれていて、ポージングや筋肉のバランスなどで審査されます。
お客さんが見つめる中、たまきさんの出番。なのはさんは、観客席で見守ります。ステージで堂々とキメるのは、渾身の“あのポーズ”。
なのはさん
「いいね、いいね」
なのはさんも太鼓判を押す、きれいなポーズが決まりました。
なのはさん
「素晴らしかったです」
予選は、無事通過。
なのはさん
「おつかれ~」
たまき
「自分の物は出せたかな」
なのはさん
「よかった」
その後、ファイナルの審査に進み…結果は、4人中3位。
たまきさん
「自分的には大満足です。ここまで来られたことがまず、本当に良かったなと思っています。なのはと一緒に」
なのはさんもお母さんに負けないくらいの笑顔を披露しました。大会終了後。なのはさんが取り出したのは、内緒で作ったあのプレゼント。
なのは
「ママちん、これいつもありがとうって、なんかちょっと作ってみた」
たまき
「なに?ハハハ」
それは、アルバム。これまで一緒に出場してきた写真とともに、思いのこもったコメントも…
――ままといれば何でもできる気がする!
――2人での公式写真!コレクションしていきたいね
なのはさん
「何か思い出を形にできたらなと思うので。ネタバレだけど、誕生日とかクリスマスとか。待っててね」
たまきさん
「ありがとう忙しいのに、本当に。またね、来年も来ようね」
トレーニングでつながる家族の気持ち。たまきさんはこれからもステージに立ち続けます。
(8月5日『news every.』16時特集より)