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日露交渉、共同経済活動の狙い 記者解説

2017年2月7日 18:19
日露交渉、共同経済活動の狙い 記者解説

 2月7日は「北方領土の日」。安倍首相は、北方領土の返還を求める大会に出席し、領土問題の解決に向けた決意を語った。日露首脳会談からまもなく2か月。“日露交渉のその後”について、日本テレビ政治部・矢岡亮一郎記者が解説する。


――去年12月、プーチン大統領が日本を訪問し、首脳会談が行われてからまもなく2か月になる。

 外交は、トランプ大統領に世の中の関心が移っているが、その裏で日本とロシアのやりとりが活発になってきている。先月中旬以降、日本から経済産業相、そして外務副大臣や外務省幹部が相次いでロシアを訪問し、要人と会談した。

 これを受けて、来月中旬にはロシア側の関係省庁、数十人規模の来日が決まった。こうした動きの背景について、ある交渉担当者は「プーチン大統領の指示が、しっかり下のレベルに下りている」と分析している。


――大統領の指示というのは、どういう指示なのか。

 去年の首脳会談で両首脳は、「共同経済活動」「元島民らの往来拡大」の2つの点で合意した。これらの協議を進める意思が感じられるという。


――交渉はうまくいきそうか。

 そう簡単ではない。共同経済活動をめぐって、大きな課題となるのが「管轄権」の問題だ。例えば、島で日本人ビジネスマンが犯罪に巻き込まれた場合、ロシアの法律で裁くのか、日本企業が島でのビジネスで利益を得たら、ロシア側に税金を納めるのかなど課題は山積している。


――仮に課題をクリアしたとして、共同経済活動が、どう島の返還につながるのか。

 共同経済活動の狙いについて、首相周辺は「北方領土をピンクにすることだ」と話していた。どういうことかというと、ロシア人が実効支配する島を赤色として、そこに白の日本人が入り込んで、色を徐々にピンクに変え、最終的に白に近づける、日本の存在をじわりじわり既成事実化したいというわけだ。

 去年、北方領土を取材した際には、北朝鮮からの出稼ぎ労働者の存在が確認できたし、最近は韓国系・中国系の企業も進出している。外務省幹部は「いま第一歩を踏み出さなければ、10年後はロシアだけでなく、中国・韓国・北朝鮮も入って、状況はもっと複雑になる」と危機感を強めている。

 安倍首相は自らの任期中に領土問題を解決させると話しており、その実行力が問われる。