×

「正恩政権から悪化」露と北の今 記者解説

2017年4月25日 17:51
「正恩政権から悪化」露と北の今 記者解説

 27日に予定されている日露首脳会談では、共同経済活動だけでなく、北朝鮮問題もテーマになりそうだ。わずか20キロほどの国境で接しているロシアと北朝鮮、その両国の関係について日本テレビ政治部・矢岡亮一郎記者が解説する。


――そもそもロシアと北朝鮮の仲は?

 北朝鮮については、“(ロシアの前身である)ソ連が生んで中国が育てた”と言われるくらい、建国以来の伝統的友好国だ。2011年には、金正恩氏の父である故・金正日総書記がロシアのシベリア地方を列車で訪れている。当時のメドベージェフ大統領がモスクワから遠く離れたシベリアまでわざわざ会いに来るなど、良い関係を維持していた。

 ただ、金正恩政権になってから関係は悪化する。まず2015年、プーチン大統領が、国家の威信をかけ開いた軍事パレードを正恩氏はドタキャン。そして翌年、北朝鮮が核実験に踏み切って以降、ぱったりと要人の往来はなくなっている。


――最近はあまり関係がよくないと?

 ただ、そんな両国に最近、意外な動きがあった。国境近くで、日本が入港禁止にしている北朝鮮の貨客船「万景峰号」の定期便を開設するという。この船を利用するとみられるのが、ロシアに3万人以上いる北朝鮮の出稼ぎ労働者で、定期便が開設されるとより行き来が活発になる可能性がある。


――北朝鮮にとってどんなメリットがあるのか。

 以前、ロシアで北朝鮮労働者の取材をしたことがあるが、彼らは月5万円ほどの賃金の約9割を本国に送金する仕組みになっていた。こうした送金額は世界全体で、年間2000億円前後とされ、北朝鮮にとって貴重な外貨の収入源になっている。船の定期便の就航で、これが拡大する可能性がある。


――ロシアが北朝鮮を助け、いわば制裁の“抜け道”になる可能性もあるということか?

 日本の外務省幹部は「出稼ぎ労働者は今後、国連の制裁の対象になる可能性がある」と指摘している。こうした動きもふまえ、安倍首相は、プーチン大統領との首脳会談で、ロシアが国際的な圧力の足並みを乱さないよう働きかける方針だ。