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北方領土墓参に航空機活用 日露首脳が合意

2017年4月28日 5:09
北方領土墓参に航空機活用 日露首脳が合意

 安倍首相とプーチン大統領による日露首脳会談がモスクワで開かれ、両国は北方領土の元島民による墓参りに新たに航空機を活用することなどで合意した。現地から矢岡亮一郎記者が伝える。

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 安倍首相「元島民の方々に、航空機を利用してお墓参りをしていただくことが決まりました。6月中の天候の良い日に元島民の方々に国後島と択捉島の先祖のお墓にお参りしていただきたい」

 会談では、元島民による航空機を活用した墓参りを今年6月に実現するほか、これまで国後島沖の1か所に限られていた出入域手続きのポイントを、8月にも新たに歯舞群島沖に設置することでも合意した。

 また、北方四島での共同経済活動の実現に向け、官民による現地調査団を5月中にも派遣することで合意した。

 安倍首相は共同経済活動の事業案として、魚やウニの養殖、エコツーリズムなど観光分野を挙げた。

 安倍首相「今までの発想にとらわれない新しいアプローチを通じて両国民間の信頼を増進させ、平和条約を締結したい」

 一方、首脳会談では北朝鮮情勢についても意見が交わされ、プーチン大統領は北朝鮮を含めた6か国協議の再開が必要との認識を示した。

 プーチン大統領「6か国協議を一刻も早く再開させることが共通の課題と見ている」

 安倍首相は、ロシア自身に建設的な役割を果たすよう促した。これに対しプーチン大統領は会談後、「軍事的な発言を控え、穏やかで建設的な対話を目指すべき」と述べ、北朝鮮をめぐる日露の温度差も垣間見えた。

 今回の合意は、元島民の利便性向上という面では、一定の成果となった。一方で、領土の返還を見据えた共同経済活動の実現には最大のハードルである法的立場の違いが残されたままで、地道な外交が続く。