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【政治解説】石破氏 vs 若手?“ポスト岸田”の行方は… 岸田首相“続投”を支持する声も 2024年7月最新世論調査解説

2024年7月31日 18:15
【政治解説】石破氏 vs 若手?“ポスト岸田”の行方は… 岸田首相“続投”を支持する声も  2024年7月最新世論調査解説
2024年7月世論調査解説
NNNと読売新聞が7月19日から21日まで行った世論調査で、岸田内閣の支持率は9か月連続で20%台と低迷が続いています。そのようななか、9月に総裁選を控える自民党では、若手による“新しい風”に期待する声が高まっています。一方で、“ポスト岸田”の世論調査で1位常連の石破氏には、克服できない“課題”が…。さらに、岸田首相の続投を支持する声も。 日本テレビ政治部デスクの竹内真と解説委員の菅原薫の同期コンビが解説します。

岸田内閣の支持率25% “微増”も低迷続く

【竹内】
7月の世論調査で、岸田内閣の支持率は2ポイント上昇して25%でした。1000人程度のサンプル数ですと、誤差の範囲なので、ほぼ横ばいという評価になります。

【竹内】
今回の調査でトピックとなったのは、「支持する政党は何ですか?」という質問への回答です。「支持する政党はない」と答えた人が54%にのぼりました。これは2012年に自民党が政権に復帰して以来、最も高い数値です。官邸の関係者は取材に対して、「東京都知事選挙で石丸さんが2位になったことしかり、既成政党への不満が高まっている」と分析していました。
【菅原】
そうした不満を受けとめて、「既成政党はどうするのか」ということが注目されますね。9月には自民党の総裁選、立憲民主党は代表選があります。
【竹内】
「体制をかえる、かえた、刷新した」とアピールする場になりますね。

“ポスト岸田” 自民党支持層は意外な“あの人”を支持

【菅原】
世論調査では“ポスト岸田”の調査もしましたが、結果はどうでしたか?
【竹内】
今回は、河野氏が3位に復帰しました。前回は支持率6%で5位でしたが、2ポイント上げて3位になりました。これで、小泉進次郎氏、石破氏、河野氏が上位3位を占める、いわゆる“小石河”の体制が復活したカタチになります。調査全体としては大きな変化はありませんでしたが、目線を変えると意外なことも見えてきました。

【竹内】
やはり“自民党総裁を選ぶ”ということですので、自民党支持層に絞ってデータをみました。すると、やはり1位は石破氏(全体1位)で変わらずですが、2位はなんと岸田首相(全体5位)。
【菅原】
政権は長く低迷をつづけているわけですが、自民党支持層の中では岸田首相に対する一定の支持が“まだある”ということですか。
【竹内】
現職の総裁ですし、首相ですから、当たり前という見方もできますが、岸田首相を支える閣僚経験者は「自民党支持層に限って考えれば、岸田総理の評判はそれほど悪くない。経済にしても外交にしても防衛政策にしても結果を残している」と話しているほか、自民党3役経験者も「継続性が大事だ」と岸田氏の“続投”を支持しています。

【菅原】
そうなると、岸田首相が次の総裁選へ出るにせよ、出ないにせよ、判断はいつ頃になりますか?
【竹内】
岸田首相に近い議員は「考えをまとめるのは、お盆明け」と話していました。岸田首相はお盆に重なる時期に、中央アジア歴訪などの外交日程を入れています。ですから、「首相が帰国した8月中旬以降に判断をするタイミングが来るんじゃないか」ということです。自民党のベテラン議員も「お盆明けから一気に動きが本格化してくる。みんな態度表明するだろう」という見通しを示しています。
まだ少し時間があるので、自民党の重鎮議員は、「何とも言えない様子見状態になっている」と。今は、けん制しつつ他の人の動きや、空気感を探っている状況だそうです。

“若い世代”が支持する“ポスト岸田”は誰か

【菅原】
今回は、“一応”、派閥というものがなくなって初めての総裁選となるため、「若い候補も出るのではないか」と言われてます。“世代”という視点では、誰が期待されていますか?
【竹内】
例えば、10代、20代の“若い世代”を見ると、全体では1位だった石破氏が9%の支持で4位と下がります。代わる1位は支持率19%で小泉進次郎氏。実は、支持率19%で並んで、1位タイの人がいるんですが、誰だかわかりますか?
【菅原】
誰でしょう…
【竹内】
これ。実は私も意外だったんですが、菅前首相なんです。

【菅原】
菅前首相ですか。首相在任中も、若い世代からの支持は高かったですよね。携帯電話料金の引き下げや、不妊治療の保険適用など、若者に好まれる政策をしていた印象があります。それが影響しているのかもしれないですね。
【竹内】
その可能性はあると思います。一方の石破氏を見ると、50代、60代、70歳以上と、年齢が高い層になると支持がどんどん厚くなっていくという印象です。
【菅原】
石破氏は安倍政権では主要ポストから外されていましたよね。そういったこともあって、若い人の印象には、あまりないのかもしれないですね。
【竹内】
そうかもしれませんね。安倍政権は7年以上に及ぶ長期政権でしたから。石破氏も当初、2年くらいは幹事長や、地方創生の担当大臣などを任されていましたが、途中からは“ほぼ非主流”というか、主要なポストに就いていませんでしたよね。

投票率の高い年代で人気の石破氏 しかし、克服できない“課題”が…

【菅原】
ただ、 投票率を考えると、“年代が高い層に人気がある”ことは、石破氏にとって有利なポイントである可能性はありますよね。
【竹内】
そうですね。自民党の党員も、若い人よりも年齢が高い人の方が投票率は高いですし、有利に働くのではないかということは十分考えられます。ただ、“石破氏自身”というのが、難しい一面を持っている。本人がまず「立候補をするかどうかをまだ決めきっていない」ですし、そもそも厳しい現実というか、課題も残されてるんです。
【菅原】
“国会議員票”ですか。
【竹内】
そうです。これはずっと以前から話になっていますが、石破氏は知名度が高いですし、「次の首相にふさわしいのは誰か」という調査の際には必ず名前が挙がる政治家ではあるわけなんですが、同時に、「国会議員に支持が広がらないのが課題」と言われ続けてきたわけです。実際に、かつて石破氏陣営の中心にいた議員も「石破さんはいつも人気先行で、議員に支持を広げる戦略が皆無」と冷ややかな見方をしていました。
【菅原】
ずっと以前から言われていることですよね。なぜ改善しないのでしょう。
【竹内】
本当に不思議ですよね。やはり、石破氏自身のスタンスとして、国会議員と政策の話をしたりするのは良いけれど、お酒を飲みながらポストの話をしたりですとか、そういう方法で支持を広げることが「好きではない」ということが原因と言われています。端的に言うと、「人付き合いが良くない」ということですね。
【菅原】
政治家なのに…

【竹内】
そうなんです。少し昔を振り返ってみても、2012年の総裁選、安倍元首相と決選投票になったときには、今の浜田国対委員長や梶山幹事長代行らが陣営に入って支持しました。ところが、2018年の総裁選では離れてしまいました。石破派という派閥も一時期はできましたが、熱心に応援をしていた伊藤元金融担当相や、田村元厚生労働相も離れてしまい、今はグループというカタチで弱まっています。中核メンバーですら離れてしまうというのは、石破氏が抱える問題が解決できていない表れとみることもできます。
【菅原】
そもそも、石破氏のもとには総裁選の立候補に必要な推薦人が20人集まらないと見ている人もいますよね。竹内さんはどうみていますか?
【竹内】
私個人の見立てで言うと、本当に石破氏が「(総裁選に)出る」となれば、最終的には20人は集まるのではないかと思います。やはり、石破氏には高い知名度があり、“次の総裁・総理の筆頭”と目されているので、「石破茂が必要だ」と話す自民党の国会議員もいますので。ただ、総裁選で勝てるかというと、少し難しいという見方も多いです。というのも、先ほどから出ている「人付き合いの悪さ」が変わっていないという指摘は多いからです。閣僚経験者も「石破さんはなかなか変わらないだろう」と話し、厳しい見方を示していました。石破氏は良くも悪くも変わらない、といったところです。

若手筆頭の小泉進次郎氏に動き

【菅原】
“ポスト岸田”の世論調査で2位の小泉進次郎氏はどうですか。相変わらず、父の純一郎氏は「早い」と言っているとも聞きますが。
【竹内】
今回、数字には表れない部分ですが、最も変化があったのは、小泉氏だと思います。取材していると、小泉氏に「総裁選に出た方がいいよ」と促している人がかなりいるようなんです。例えば、森元首相もそのひとりのようです。また、小泉氏本人も「決して出る気がない、というわけではない」という情報もあります。
【菅原】
私も「小泉氏は総裁選に向けて政策の準備を始めた」という話を聞きました。“若者の暮らしが良くなるような政策”を考えているようです。
【竹内】
やはり、「誰かに支持をお願いした」とか、「政策を考え始めた」というと、具体的になってきた感じがしますね。

ベテランからも期待される小林鷹之氏

【菅原】
小泉氏の他にも、若手の議員からは「小林鷹之氏を応援しよう」という声がかなり上がっていますね。
【竹内】
注目されていますよね。これは必ずしも若手議員だけではなく、ベテラン議員のなかにも小林氏の能力を評価して、支持・応援すると表明している人もいます。あるベテラン議員は、「推薦人20人、30人なんてすぐ集まる」と豪語してます。別の自民党幹部も、「小林(氏)に任せておけば、政策などもちゃんとまとまる。上の世代からの信頼も厚い」と、べた褒めです。やはり、能力が評価されているのに加えて、当選4回でまだ40代ですから、小林氏の“若さ”は武器です。自民党の重鎮も「刷新感が大切だ」と話していますので、それに合致する候補という感じがします。

「“若い人であればいい”、“新しい顔を選べばいい”は間違っている」

【菅原】
自民党の若手議員の中に「石破さんと若手の小泉さんなり小林さんが戦って、若手が勝つという流れだと、より刷新感が出ていいんじゃないか」というようなことを言う人が、結構いますよね。
【竹内】
自民党の幹事長経験者のひとりは「小泉氏や小林氏のような“新しい風”が吹くというのが望ましいし、そういう“新しい風”に立ち向かって、打ち勝つというのはなかなか難しいだろう」という見方を示しています。ただ、やはり、「若いからいい」ということではないですよね。本質はそこではないと思います。ある自民党関係者は「若い人を選べばいい、新しい顔を選べばいいみたいな考えは間違ってる」と言っていたのですが、私はこの言葉には耳を傾ける価値があると思います。

2012年に自民党が政権に復帰して以来、最も激しい逆風が吹いているのは、自民党へ不信が大きいからだと思います。統一教会の問題は、「特定の団体に影響を受けているのではないか」。パーティー券の売り上げの裏金化は、「政治とカネについて不透明なのではないか」。こうした疑念を払拭する姿勢や対策を示せていないからこそ低迷が続いているのではないでしょうか。

今回の調査では「支持する政党がない」という回答が54%にものぼりました。この数字を甘く見てしまうと、自民党は政権を失ってしまう可能性すらあると思います。今回の総裁選挙では“顔を選ぶ、表紙を変える”だけではなく、中身についても徹底的に議論をして、新たな打ち出しをしてほしいと思います。

(日本テレビ 政治部デスク:竹内真 解説委員:菅原薫)

■NNN・読売新聞世論調査
7月19日から21日全国有権者に電話調査
固定電話 420人 回答率57%
携帯電話 611人 回答率35%
合計1031人が回答