秘書官「LGBT」差別発言で――法案審議が動く? 締め付けのロシアメディアも批判…「G7で同性婚認めないのは日本だけ」
岸田首相を間近で支えてきた荒井勝喜(まさよし)前秘書官の差別発言が、海外メディアからも批判されています。多様性を掲げる政権の人権感覚が問われていますが、今回の事態を受け、LGBTの人たちへの理解を促す法案の審議が進む可能性が出てきました。
■差別発言に海外メディアの反応は?
有働由美子キャスター
「荒井前秘書官の発言が、海外でも多く取り上げられています。AP通信は『日本にはLGBTQ、女性、外国人への偏見が根強く残っている』。イギリスBBCも『日本は伝統的な男女の役割と家族の価値観に縛られている』と指摘しています」
「LGBTQへの締め付けを強化しているロシア国営のタス通信でさえも『G7で同性婚を認めていないのは日本だけ。岸田首相率いる自民党の多くがその承認に反対している』としています」
「G7サミットの議長国としては、恥ずかしい形で注目を浴びました」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「それだけ、政権中枢の人物の重い発言だとみなされています。前秘書官の立場、政権の考え、今後の展開という3つのポイントで見てみます」
「まず立場ですが、岸田首相を間近で支える秘書官8人のうちの1人でした。政策の立案に携わり、首相の演説などの原稿も書いていました。首相の考え方を記者らに伝える広報担当の役割もあったので、首相の考え方を最もよく分かっている人でもありました」
有働キャスター
「だからこそ、首相官邸の中の人権感覚がそうなっているのではないかと疑われるわけですね」
小野委員
「次に岸田政権の考えについてです。同性婚について首相自身、『家族観や価値観、社会が変わってしまう』と慎重です。なぜ慎重なのか、前回の2021年衆院選でzeroが行った候補者アンケートを基に、自民党で当選した人の考えを確認します」
「同性婚を法律に明記することについて『どちらともいえない』は40.3%でした。『反対』と『どちらかというと反対』を合わせると、半数近い47.4%になりました」
「(この自民党を)まとめていくのは簡単ではありません。岸田政権は多様性を掲げてはいますが、具体的に同性婚となると、切迫した問題として取り組もうとはしていません」
「最後に、今後どうなるかが気になります。第一歩として、LGBTの人たちへの理解を促進するための法案について、自民党が『国会への提出に向け前向きに検討したい』(茂木幹事長)という姿勢を示しました」
「党内に反対の人たちがいて止まっていましたが、今回の問題を機に動き出しました。積極的な公明党が自民党の背中を押してもいるため、国会で審議が進む可能性も出ています」
有働キャスター
「荒井前秘書官の発言は、誤解ではなく差別だと思いますし、首相の発言にあった家族観や価値観、そして社会というのはもう既に変わっているから、声が上がっているわけです。その認識のズレを本当に理解してほしいと思います」
「そしてこの問題は、どういう社会を目指すのかに直結しています。この国会で岸田首相には、国民に伝わる言葉でしっかり説明してほしいと思います」
(2月6日『news zero』より)