“接種”どう管理?情報リアルタイム把握へ
新型コロナウイルス対策の、切り札とされるワクチンについて、14日にも第一便が到着し、医療従事者から接種が始まります。前例のない規模の接種にむけて準備が進む中、行政のデジタル化の遅れによる課題も浮き彫りになっています。
14日にも到着する新型コロナウイルスのワクチン。自治体では、接種にむけ会場や医療スタッフの確保など、準備におわれています。対象者全てに、2回の接種が必要な大規模プロジェクト。2回目の接種を促したり、副反応がでたりした場合の対応に不可欠なのが、接種情報の管理です。
しかし、政府内からは、「いまの情報管理システムでは、接種状況を速やかに把握できないのではないか」と懸念の声も。現在、ワクチンの接種情報はどう管理されているのかみせてもらいました。
大和市医療健診課・山中課長「これがいわゆる予防接種の台帳、システム台帳でございます」
日本脳炎やBCGなど、行政が費用負担するワクチンの接種記録を管理する台帳。今回のコロナのワクチン接種でも、これに記録されますが、ある課題が。
ワクチンを打つと、その情報は、医療機関から自治体に郵送されますが、月末にまとめて送られるため、届くのに最長で1か月以上かかります。そして、受け取った自治体では、郵便物を1通ずつ開封して接種に関する書類を仕分け、別の担当者が内容の不備などを確認します。
大和市・担当者「(Q 全部手作業なんですね)手作業ですね。不備がないかとかちゃんと目視して」
その後、外部業者に書類内容のデータ化を依頼。およそ10日後に打ち込み終わったCDーRが自治体に返送され、ようやくシステムに取り込まれます。接種からおよそ2か月もの時間を要するのです。
山中課長「リアルタイム(で情報把握)とは、なかなかならないというのが実状でございます」
今回のワクチン接種でも浮き彫りになった、行政のデジタル化の遅れ。こうした現状をうけ河野大臣は先月。
ワクチン接種担当・河野大臣「ワクチン接種の数をリアルタイムで把握したい」
自治体での記録はこれまで通り行うものの、マイナンバーを紐付けた新たなシステムも作ると表明。10日、新システム開発のキーパーソンが取材に応じました。河野大臣から、開発責任者に抜てきされた小林補佐官。
河野大臣が抜てき・小林史明補佐官「(思ったより殺風景ですね)そうですね。来たばかりなので。ちょうどここに入って1週間ですかね」
新しいシステムについては。
小林史明補佐官「リアルタイムに近い形で、いつ誰が何のワクチンを打ったのか、しっかり記録できる」
新システムは医療スタッフなどが、「接種券」などに記された情報をスマホで読み取り、瞬時に情報が登録される仕組みを想定。接種率などを、リアルタイムで把握する狙いがあります。さらに、新システムの狙いは。
小林史明補佐官「副反応への対応も、迅速化ができると考えています」
一方で、開発に着手するのが、遅いのではとの指摘については。
小林史明補佐官「今回も普段の予防接種事業のやり方で、やりたいというのが続いていたことが、もっと早く検討しなかったポイント。自治体ごとにバラバラに作っていた予防接種台帳を、共通化・標準化する仕事になります。その一歩を踏み出すという意味合いが大きい」
ただ、4月の高齢者への接種に間に合うのか、危ぶむ見方があるとともに、自治体からは、「システムの全容がわからない」と不安の声もでています。