【解説】岸田新内閣 若手“飛び級”人事も
岸田新内閣の顔ぶれが出そろいました。どのような政権になるのか、詳しく説明します。
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■初入閣は13人 コロナの担当大臣“全員交代”
岸田新内閣の顔ぶれですが、初入閣が13人です。「刷新」をアピールしているということでしょうか。
気になるのが新型コロナウイルスを担当する大臣です。田村厚生労働大臣の後任は、後藤茂之氏(65)です。厚生労働委員長を務めた経験があり、現在は自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部座長です。
西村経済再生担当大臣の後任は、山際大志郎氏(53)です。経済産業副大臣を務めた経験があります。獣医から政治家に転身した、異例の経歴の持ち主ということです。
河野ワクチン担当大臣の後任は、堀内詔子氏(55)です。現職は環境副大臣です。かつては厚労大臣政務官を務めた経験もあります。
コロナ対策の顔として見慣れた人々が、全て交代するということになります。この3人とも初入閣であり、「知らない」という人も少なくないかもしれません。
こうしてコロナ関係の大臣全員が交代することをうけ、永田町からは厳しい声が出ています。ある自民党議員は「有事のまっただ中で全取っ換え。完全に予想外で、『大きな不安』を禁じ得ない」と、また、現職閣僚の1人は「第6波の懸念がある中、ありえない。完全になめている」と感想を漏らしています。
この3大臣だけでなく、総理、官房長官もかわりますから、そういう意味でも「全取っ換え」への不安があるのは事実です。
■新内閣 60代が最多 40代から抜擢の2人は“飛び級”人事
今回の人事をするにあたり、岸田新総理大臣は、以下のように話していました。
岸田新総理
「やはり老・壮・青のバランス、これが大事だということで、現状を考えると、より中堅・若手の登用が必要であると申し上げてきました」
「老・壮・青」、つまりベテラン、中堅、若手のバランスがとれた人事を掲げていましたが、新内閣を年代別にみてみると、64歳の岸田新総理も入れて新内閣の平均年齢は61.8歳です。菅内閣発足時、平均年齢は60.4歳で、それほどかわらないということになります。世代のバランスをとるとしていましたが、今回は60代が11人と最も多くなっています。
一方で、40代からは2人が抜擢されています。牧島かれん氏(44)と小林鷹之氏(46)です。
デジタル大臣の牧島氏は、今回の内閣で最年少の44歳です。当選3回で、女性初の自民党青年局長を務めました。4日の取材で、以下のように話しています。
新デジタル相・牧島かれん議員(44)
「大変驚きましたけれども、岸田総裁をしっかりとお支えして、政策を遂行するために、力を尽くしていきたいということを申し上げました」
取材の際、牧島氏の背後に角が飾られていました。狩猟免許を持っているということです。
もう1人の40代は、当選3回、46歳の小林鷹之氏です。政権の目玉として新たに設置する、経済安全保障担当大臣に起用されました。小林氏のツイッターのアカウントをみると、IDは小林の「コバ」とタカを表す「ホーク」で「コバホーク(@kobahawk)」となっています。
普通、大臣になるのは副大臣をやってからになります。ところが、2人とも副大臣を経験しておらず、“飛び級”の人事です。
今回の人事について岸田新総理に近い議員は「当選3回を3人起用する思い切った人事ができた」と語っています。この2人に加え、ワクチン担当大臣の堀内詔子氏も当選3回です。
■衆院選 今月、公示・投開票の意向…なぜこのタイミング?
新内閣のスタートをお伝えする中で、衆議院選挙の日程について動きがありました。4日朝、岸田新総理は、今月19日に公示し、31日に投開票を行う意向を固めたということです。なぜ、このタイミングなのでしょうか。
総選挙の日程は11月か、といわれていましたが、岸田新総理の周辺は「補正予算と来年度予算の編成を年内にやらないといけないので、早く選挙をする必要がある」と説明をしています。
しかし、与党内には「選挙を早くやった方が勝てると判断した」との見方が広がっています。ある自民党議員は「新型コロナウイルスの感染状況が落ちついているうちに選挙をやってしまいたいのだろう」と話しています。
一方、野党・立憲民主党の幹部は「人事の評判が悪いのと、選挙前にぼろが出る前にやりたいだけだ」と指摘しています。
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今回は、新内閣がスタートしても、その仕事ぶりをじっくりみる余裕なく解散総選挙という異例の展開です。ただ、この内閣で選挙をたたかうということになります。
(2021年10月4日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)