G7広島サミット“歴史的なサミット”に?注目ポイントを解説
19日から始まる広島サミットですが、これまでの動きと注目するポイントを解説してもらいます。
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「news every.」藤井貴彦キャスター:日本テレビ政治部・平本典昭官邸キャップとお伝えします。
──まだサミットは始まっていないですが、すでに各国首脳の動きがありますね。
イタリアのメローニ首相と会談をすでに行いましたし、これからバイデン大統領とも会談予定があるほか、イギリスのスナク首相とは広島市の実家の近くの料亭で夕食会を行います。
──サミットが始まる前からこのような外交が始まるのは珍しいのでしょうか。
これは、よくある事なんです。G7のリーダーが集まっているから、この場を利用してサシの会談もやろうという外交なんです。今回でいうと各国の利害がぶつかるテーマもあります。議長の岸田首相としては全体会議の前にある政府関係者によると「『1つ、ここは力を貸してください』と『根回し』をする場にもなる」そうなんです。
──岸田首相の地元での開催、力が入っていると思いますが、注目のポイントは?
今回のサミットについて取材を続けてきましたが、複数の外務省幹部、政府関係者が、岸田首相自身も周辺に「歴史的なサミットになる」と話しています。なぜか?今日は3つにしぼりたいと思います。
1つめは「『核なき世界』に向けてどんなメッセージを発信できるか」です。
──いま、ウクライナで戦争が起きています。時を同じくして平和を世界に訴える都市広島で行う意味はここにありますよね。
サミットは19日から3日間行われますが、スタート直後に私が一番注目しているイベントがあります。それは岸田首相がG7首脳と広島の平和公園にある原爆資料館を訪れるというものです。
2016年にオバマ大統領がアメリカ大統領としては初めて訪れましたが、G7首脳が揃って訪問するのは今回が初めてです。首相周辺は「岸田総理が一番こだわったイベントで最も力を入れている」と話しています。
岸田首相自身も「各国のリーダーに原爆とはどういったものだったのか、『被爆の実相』に触れてもらい、未来に向けて活かして欲しい」と強調しています。
ただ、その一方で広島で開くのだから、と「ハードル」が上がっている面もあります。
岸田首相も周辺に「広島で開いたのにこれだけか、と言われないようにしなければ」と話すなど、成果を出せるかプレッシャーを感じていたようです。
被爆者の中からは「資料館をじっくり見てもらって広島開催という意義がある強いメッセージを出して欲しい」という期待が出ています。
単なるイベントではなく、「核なき世界」に向けた具体的で意味のあるメッセージが出せるかが肝になります。
──オバマ大統領が広島を訪れた時に、岸田首相は外相でしたよね。
当時は安倍首相と岸田外相でしたが、原爆ドームに行った時に岸田氏が英語でオバマ氏に原爆ドームの説明をしたという事です。それぐらい平和記念公園、原爆ドームは広島出身の岸田首相にとって重要な場所であるという事が言えます。
そして2つめのポイントはウクライナ問題です。
──ゼレンスキー大統領が先週ヨーロッパを相次いで訪問して、直接会談をしたフランス・マクロン大統領、イギリス・スナク首相も広島に来ているわけですが、サミットの議論はポイントはどこでしょうか?
ある政府関係者は「G7首脳の最大の関心事はウクライナ問題だ」と指摘しています。別の政府関係者は「ウクライナが厳しいこのタイミングでどれだけ具体的な支援を打ち出せるかに視線が向けられている」と話しています。
実は、岸田首相が3月に極秘でウクライナ訪問をしたのも「サミットでの議論に説得力をもたせるためだった」とある政府関係者は解説しています。
周辺は「周到な準備をしてきた」と言っていますが、実際は岸田首相がこの議論を引っ張れるのかも注目です。
──最後のポイントは何でしょうか?
それは「警備体制」です。
今年4月に岸田首相に爆発物が投げられる事件が起きました。これに先だって、私は今年1月、岸田首相とヨーロッパ訪問に同行取材しましたが、その時聞いたのが、海外の政府関係者から「日本に訪問するのは怖い」という声も出ていたそうなんです。
ある政府関係者は「いくらサミットの議論がうまくいっても警備体制に問題が生じれば全てが吹っ飛ぶ」と話しています。
安倍元首相の銃撃事件、そして岸田首相の襲撃事件が起きた直後だけに、ある官邸関係者が「警察の威信をかけた警備」と話すなど、安全に会議を運営できるかもポイントとなります。