岸田首相の“動画”も拡散 生成AI悪用の“フェイク動画” 必要な対策は?
AI=人工知能を悪用し、簡単にニセの動画や画像を作成できるようになっていますが、8日、国会でもこの問題が取り上げられました。岸田首相の“フェイク動画”も拡散される事態に、政府はどのような対策を取るのでしょうか?
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「これは1か月の利益です。もはや、重労働や多くの労働は必要ありません」
生成AIで作ったとみられる“フェイク動画”。「news every.」の放送を勝手に加工して、投資を呼びかける悪質な広告です。
「内閣総理大臣をトップにした政府は――」
岸田首相の動画も、悪用しています。
何者かがこのフェイク動画をYouTubeなどに投稿し、SNSで拡散しました。日本テレビは「当社は関与しておらず、推奨もしていない」と、注意を呼びかけています。
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このフェイク動画を巡り、8日の国会では――
立憲民主党 中谷一馬議員
「日本の総理大臣までもが、詐欺の広告に悪用される事例。厳正に対処していただきたいと 思いますが、いかがでしょうか」
松野官房長官
「偽広告が流通していることは承知しており、重要な課題だと認識をしております」
立憲民主党 中谷一馬議員
「現時点においては、残念ながら、政府が効果的な対策を講じられていない。このことは、火を見るよりも明らかです」
松野官房長官
「関係省庁において実態を把握し、必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております」
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今年5月、生成AIをめぐる問題について、岸田首相が研究者などを官邸に招き、意見交換を行いました。
AIエンジニア 安野貴博さん
「(AIの)リスクというところなんですけれども、ぜひデモをさせていただきたいと」
その際、AIエンジニアの安野さんがパソコンに接続したデバイスを使って、デモンストレーションを行いました。
AIエンジニア 安野貴博さん
「このマスクをつけると、リアルタイムに、私の声が“総理の声”に変換されて聞こえるようになる」
岸田首相
「あっ、そう!」
安野さんの声が、自分の声そっくりに変換され、驚く岸田首相。
AIエンジニア 安野貴博さん
「こういった普通のノートパソコンであっても、こういったことができてしまうわけでございます。これが“ディープフェイク”と呼ばれる技術」
岸田首相
「あー、なるほどね」
実際に、生成AIを悪用したとみられる、岸田首相のフェイク動画がSNSで拡散されています。
岸田首相のフェイク動画
「明日が国会も休みにあたりますので、コンビニエンスストア、一般的にはコンビニと呼称される施設にて…」
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デモンストレーションを行った安野さんに、政府に求める対応を聞きました。
AIエンジニア 安野貴博さん
「1つは、“ディープフェイク”技術自体に対して、それを検出していく仕組み、そういう方向の技術を発達させるように促す」
さらに――
AIエンジニア 安野貴博さん
「受け手のリテラシーを上げる、ということ。ある情報を見たときに、その情報がもしかしたら、作られたものかもしれない、ということを教育していく」
「映像があれば、それが本当にあったと信じられた時代は終わった」