首相の求心力低下……自民党内で“公然”批判 関心は秋の「総裁選」へ “政治とカネ”改正法成立も「ないよりはマシ」
閉会間際の今国会では改正政治資金規正法が成立し、内閣不信任決議案は否決されましたが、岸田首相の状況は苦しいままです。自民党の議員からは首相を批判する声が公然と上がりました。党内の関心は秋の総裁選に向けられ、さまざまな動きが出始めています。
藤井貴彦キャスター
「立憲民主党は20日、岸田内閣に対する不信任決議案を提出しましたが、与党などの反対多数で否決されました。国会は21日が事実上の最終日だということですが、政治とカネの問題はクリアになったと言えるのでしょうか?」
「今回焦点だった改正政治資金規正法は、19日に成立しました。例えばパーティー券購入者の公開基準を5万円超に引き下げる、政策活動費の領収書を10年後に公開する、収支報告書の確認書の作成を議員本人に義務付けるなど、一定程度進んだ部分はあります」
「ただ、議論を聞いていても『政治に本当にお金がかかるのか?』といった本質的な議論は深まらないままで、専門家からは『ないよりはマシな法律だ』という声も聞かれました」
藤井キャスター
「不信任決議案が否決されましたが、岸田首相は安心というわけではなく、苦しい状況は続きそうなのですよね?」
小栗委員長
「そうですね。現状、与党で過半数の議席を確保しています。その数の力で否決はしましたが、岸田首相のリーダーシップには自民党内からも疑問の声が出ています」
小栗委員長
「20日、本会議に向かう前の自民党議員の会合で、こんなシーンがありました」
津島淳衆議院議員
「私の率直な思いを申し上げます。本来岸田総裁がこの場に来て、挨拶すべきではないかということでございます」
小栗委員長
「発言をしたのは自民党の中堅議員。首相自ら、所属議員に苦労をねぎらうなど、心からの思いを発するべきではないかと迫りました」
「本会議前のこうした会合に首相は出席しないことも多いのですが、公然と首相を批判する声が上がるというのは異例のことです。党内に、それだけ首相に対する不満が高まっている表れと言えるかもしれません」
藤井キャスター
「こうした状況の中、岸田首相としては求心力回復に向けて何か策を練っているのでしょうか?」
小栗委員長
「求心力回復の手立てとしては、首相だけが持つ衆議院の解散権を行使すること、内閣改造・党役員人事を行うことが検討されていました」
「ただ、解散について首相は19日の党首討論で『考えていない』と表明。自民党内でも、支持率が低迷する中『選挙はやっても負けるだけ』『できるような状況ではない』という見方が大勢です」
「一方の人事についても、ある自民党の幹部は求心力が低下した今の状況では『ポストを提示されても固辞する人が相次いで、何の影響力もなくなってしまう』と話すなど、手詰まりな状況です」
藤井キャスター
「そうなると、他の議員はその先のことを考え始めるのではないでしょうか?」
小栗委員長
「その通りです。自民党内の今の関心は、早くも総裁の任期満了に伴う秋の総裁選に向かっています。ある閣僚は『虎視眈々と動き出している人たちはいる』と発言しています」
「実際、“ポスト岸田”への意欲をにじませている茂木幹事長は20日夜に茂木派の若手中堅議員と会合を開くなど、既にさまざまな動きが出始めています」
藤井キャスター
「水面下で動きも始まっているということです」
シシド・カフカさん(ミュージシャン・『news zero』木曜パートナー)
「話を聞いていると、私たち国民に向けているものがないように感じてしまいます。(成立した改正政治資金規正法が)『ないよりはマシ』と言われてしまうと、時間をかけて作ったのは一体何だったのだろうと思ってしまいます」
(6月20日『news zero』より)