【解説】混沌としてきた来年の知事選 今後どうなる?
県議会を取材した松本茜記者です。
(松本茜記者)
緊張感に包まれた議場で始まった答弁の冒頭で、蒲島知事が「知事の職を退くことで県政の流れを妨げないか、自身の気力体力は十分か、熟慮を重ねた」と言いましたが、この「知事の職を退く」と発した時、空気がぴんと張り詰めたように感じました。
(東島大デスク)
答弁を引き出した自民党県連の前川会長は、ずいぶん未練たっぷりという感じでしたね。
(松本記者)
前川会長は、これまでも「もう1期という思いがないわけではない」などと公の場でも発言。また、自民党県連が県民約1000人に対して調査を行ったところ、77%近くの人が「蒲島知事を支持する」とする結果が出たことを報告するなど、たびたび5期目への期待を伝えてきました。
(東島デスク)
そういう意味では、蒲島知事の側も直前までかなり迷いがあったのでしょうか?
(松本記者)
知事の手元には「出馬する」とされたものと、「出馬しない」とされたものの2枚資料があったそうで、職員たちも、どちらを読むかは分からなかったそうです。
県の関係者からは「残念」という声があがる一方で、健康上の問題など年齢を重ねている部分を感じ、もしかしたら…と思っていたと言う人もいました。
(畑中香保里キャスター)
知事選まで3か月、誰も手を挙げないという事態になるのでしょうか。
(東島デスク)
思い出すのは、蒲島知事が初当選した2008年の知事選です。当時2期目だった潮谷さんが3期目不出馬を表明したのが、まさに12月6日。そこから3月の知事選へ向けて立候補者探しが加速、結局5人が乱立する争いになりました。
(畑中キャスター)
今回もこれから大きく局面が変わる可能性が?
(東島デスク)
水面下で立候補を模索していた方は複数います。これまでは、立候補するか話を聞いても、皆さん消極的な姿勢を強調していたものの、蒲島知事の不出馬を表明を受けてどう動くか。ただ2008年の知事選と大きく違うことがあります。潮谷さんの時は、自民党県連が潮谷降ろしに動きました。それが3期目不出馬につながった面もあります。今回は逆で、なんとか蒲島知事を5期目に引っ張り出そうとしていました。そのため、潮谷さんの時よりさらに混乱に拍車がかかる可能性があります。松本さん、自民党の動きは?
(松本記者)
去就表明後の取材で、前川会長は「いろいろな想定はしている」と話し、きょうに昼休憩で開催された議員団総会で、候補者選考委員会を設置しました。遅くとも来年1月11日までに支援する候補者の選定を行うとしています。
候補者を公認・推薦するのか、蒲島知事の時のように無所属の候補者を支援するのかはまだ決まっていないということです。前川会長は、きょうの時点で具体的な候補の名前はあげず、全ての可能性を考えて意見集約を行うと話しました。
(畑中キャスター)
超短期決戦、県政界はどう動くのでしょうか?
(東島デスク)
定石で言えば、自民党に有利なのは間違いないです。ただ2008年は保守が分裂したし、今回も一枚岩で行けるかどうか。また自民党派閥のパーティー券問題などで国政が非常に不安定。そういう意味では、熊本では圧倒的な保守岩盤に押されていた野党の巻き返しも考えられます。県政だけでなく国政を見据えた知事候補選びに発展する可能性があります。