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【答弁全文】「次期知事選は不出馬」熊本・蒲島郁夫知事 議会で進退表明

2023年12月6日 17:47
【答弁全文】「次期知事選は不出馬」熊本・蒲島郁夫知事 議会で進退表明

■熊本県 蒲島郁夫知事(12/6の県議会で5期目に向けた考えへの質問に対する答弁)

次期知事選に向けた私の決断についてお答えします。

私が自分自身の進退を判断する基準は県政の流れが私が最大の目標とする県民総幸福量の最大化に向けて確かな歩みを進めているかというその一点にあります。
その観点から私が知事の職を退くことで県政の流れを妨げることはないのか。県民の期待はどうか。自身の体力と気力は大丈夫かと熟慮に熟慮を重ねてまいりました。

本県は今、そのポテンシャルを最大限にいかした地方創生を実現し、日本の経済、感染症、災害、食糧、環境の5つの安全保障に貢献しうる存在となっています。
次の4年間は蒲島県政の成果を踏まえ、課題を確実に解決しながら熊本の将来に向けた礎を強固にしていく極めて大事な期間です。そして議員からは多くの県民の皆様が私に期待を寄せてくださっていることをありがたくもご紹介いただきました。
私自身としましても、県民の皆様の期待の高さを心から嬉しく思っています。

顧みれば4期目の4年間、熊本は熊本地震、新型コロナウイルス感染症、令和2年7月豪雨災害のトリプルパンチとの戦いでした。
しかしチーム熊本の困難に立ち向かう中で令和3年11月にはTSMCの熊本進出という、それまで誰も予想できなかったビッグチャンスが訪れました。
このように政治というものは逆境と将来の夢の追及が重なり合いながら未来に向けて続いています。

しかし人には命の限りがあります。
政治に携わる者には1人の人間として自身の進退を真に見極めるときが必ず訪れます。
私にとって進退の決断は県民総幸福量最大化の理念に照らし、県政の将来展望に沿ったものでなければなりません。
この観点から改めて本県の現状をみますと、チーム熊本の力で今、創造的復興は目に見える形で進んでいます。

そして令和2年7月豪雨についても災害からの創造的復興と緑の流域治水の取り組みが着実に進んでいます。
流水型ダムについても環境に極限まで配慮したダムの姿が国の努力によって見えつつあります。
長年ダム問題に翻弄された五木村、相良村の振興についても、その実現に向け全庁をあげた取り組みが進んでいます。

TSMC本県進出への対応についても、岸田首相が複数年にわたる国の支援を明快に約束してくださいました。
そしてその流れの中で将来に向けた県政のリーダーシップの担い手を考えた時に
仮に私が新たなリーダーに県政を託すとすれば今が最も適切な時期ではないかという思いに至りました。

私は、全国47の都道府県の中で最年長の知事であります。
しかし仮に次の選挙で県民の負託をいただいたとしても、次の任期の途中で限界を迎える可能性もあります。
県政は今、将来に夢に向けて良き流れを加速しています。
活躍を続けるくまモンの存在や安藤忠雄さんの手により近く完成するこども図書館も未来に向けた夢の一つであります。
この流れを踏まえるならば、今この時に有能な人物に県政を託すこと。
それが本県の良き流れをさらに強く、さらに大きくし、将来的な県民総幸福量最大化を目指し続ける上で最も望ましい選択ではなかろうかという思いに至りました。

熟慮に熟慮を重ねた上、この思いから私は与えられた今の任期を全うした上で、次の知事選には出馬しないことを決断いたしました。

私はこれまで長きにわたり県民の皆様をはじめ、議会の皆様、国や市町村の皆様からも蒲島県政の推進に対する深いご理解と多大なるご支援をいただいてまいりました。
常に県民総幸福量最大化を願いながら県政の推進にあたるというこの重要な任務を、皆様からの深い信頼と私自身の皆様への変わらぬ敬愛・尊敬をもって続けてこられたことを私は心から感謝いたしております。

私は15年前、この議場で川辺川ダム計画の白紙撤回を表明いたしました。
その時県民の85%は私の決断を支持してくださいました。
しかし3年前、令和2年7月豪雨災害はそれをはるかに超える豪雨災害でありました。
そしてそれをどうやって乗り越えるかということで私は30回にわたり球磨川流域の皆様の民意と向き合い、そこで私が感じた球磨川流域の皆様の民意は「命と清流の両方を守ってくれ」。そのことによって新たな流水型ダムを国に求めることを決断しました。

通常であればこのような方向転換は県民の皆様に受け入れられてもらえないものです。
しかしその直後の調査で71.4%の県民が方向転換を指示してくださったことを私は今も忘れることはできません。
そして今でも前川議員がおっしゃったように多くの県民の皆様が私を信じていることを感謝の念に堪えなく思っています。

私はこの良き流れを強く大きくし、本県の今後の発展を導く有能なリーダーに県政をつないでいきたいと思っています。
この思いを胸に残る課題の解決に向けためどをつけること。
そして今の良き流れをさらに加速させ、50年100年先の本県の発展に確実につなげる覚悟をもって残る任期を全力で努めてまいります。
みなさん本当にありがとうございました。

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