【検証 富山県予算案】待ったなし人口減少対策 女性の定着あの手この手
エブリィでは、富山県の新年度予算案についてシリーズでお伝えしています。2回目のきょうは、人口減少対策です。
国がきょう発表した、去年県内で生まれた子どもの数は速報値で5427人で、9年連続で過去最少を更新しています。
少子化や若者の県外流出に歯止めがかからない中、県は企業との連携に力を入れようとしています。神林記者のリポートです。
若い女性の県内定着に向けて 様々な支援施策導入
県は新年度予算案で人口減少対策に38億円を計上しました。
去年、100万人を割り込んだ富山県の人口。生まれた子どもの数=出生数は、過去最少を更新し続けています。
加えて深刻なのが、若者の県外流出です。県外出身の富山大学の学生に、卒業後の進路について聞きました。
石川出身 3年生「東京、首都圏で就職を考えている。しっかりした理由はないですが、とりあえず外に出てみたいという」
長野出身学生「地元の長野県で考えています。戻りたいなっていう思いがあるので」
岡山出身学生「富山も全然ありだなと。出身は岡山なんですけど、住み心地がいいので」
「住み心地がいい」との声もありましたが、取材では「卒業後は富山を離れる」と話した人の方が多くいました。
富山県は、県外へ転出する人の数が転入する人を上回る「社会減」の状態が続いていて、県の人口は、去年1年間で1万人以上減少しました。
特に若い女性の県外転出が深刻で、県はこれまでも様々な施策に取り組んできましたが、歯止めがかかっていません。
富山県出身で進学を機に県外へ出た女性に、富山を離れた理由を聞きました。
射水市出身・関東在住「都会で楽しく大学生活して、格好よくお仕事してみたいのがイメージで。戻ろうかな、どうしようかなというのを考えたことがない」
富山市出身・奈良在住「富山が大好きで、ずっといたいという気持ちが強かったですが、出るメリットの方が大きかった。学生時代しか得られないことが大きかったので、県外という話になりました」
県内出身・東京在住「いろいろ選択肢を広げたいと思ったときに、一旦東京の大学に行ってみようかなと思ったのが理由。図書館で働きたい気持ちがあって、こだわりなく就活していてもなかなか、枠が多いところとなると東京が一番可能性が高かった」
若い人たちに富山に残りたい、戻りたいと思ってもらうには、どうすれば良いのか。
県は新年度予算案に、県外へ進学した女子学生を対象とした、就職やキャリアに関する聞き取り調査を行う費用を盛り込みました。当事者のニーズに合った施策に向けて、ヒントを得たい考えです。
そして新年度、県は企業との連携に力を入れ、人口減少対策を進めようとしています。
新田知事「この少子化対策あるいは子育て支援、女性活躍、社会減の抑制、これら全てのキーは、私達はいろいろ考えた結果、企業の役割、なかんずく企業経営者の意識にあるという結論であります。経営者の皆さんが、経営の中に、こういった人口への対策を盛り込みやすいような、そんな狙いで様々な施策を打っている」
共働き世帯や子育て世帯の支援として、男性が育児休業を3か月以上取得した場合に企業に支払う助成金を増額する方針です。
また、結婚を希望する人の出会いの場を作るために、マッチングアプリの構築に2700万円を計上していて、このアプリは企業の福利厚生としての導入を想定しています。
新田知事「庁内でも議論がありましたよ、そこまでやるのかということですが、でもそこまでやるということです」
夫婦間の家事負担格差是正へ 家事代行サービス活用促す
さらに、県が企業向けに進めるもう1つの取り組みが、掃除や料理、洗濯などを業者が担う「家事代行サービス」です。
県は新年度、企業が従業員向けの福利厚生として家事代行サービスを活用するよう促す費用として、100万円を計上しました。
この背景には、男女間の家事時間の差があります。
国の調査によると、子どもを持つ夫婦の家事時間には、妻と夫の間でおよそ4時間半の開きがあります。
子どもを持つ女性「やっぱり1人で家事と育児ってなると、どうしてもぐずったりするので大変な時があります」
子どもを持つ男性「仕事をやっている身だと、夜帰ってくるのも不規則になったりするので、そういったところで負担をかけるかなと」
家庭での家事負担を企業が軽減できないか。富山市で化粧品の輸入販売などを手がける会社では、家事代行サービスを従業員向けの「福利厚生」として検討しています。
ApexCommerce 茂住昌子社長「福利厚生で家事代行、掃除してくれる、少し買い物に行ってくれるだけでも助かりますよね」
従業員の大半が女性のため、家事負担を減らすことが、会社にとってもプラスとなると考えています。
茂住昌子社長「会社が作ってあげられるとしたら、それは家での負担を減らしてあげることだと思っている。家での負担が少しでも減ることで、彼女たちの力が子どもにいくし、それが会社にもいくと思う」
あの手この手で進める企業との連携は果たして実現するのか。加速度的に進む人口減少の対策は待ったなしです。