【検証・県予算案】どう高める?地域の防災力 富山
エブリィでは、県新年度予算案についてきょうからシリーズでお伝えします。1回目は、能登半島地震を教訓に、避難所の生活環境向上など地域の防災力について考えます。
「こちらが体育館になります。私が到着した午後5時半にはもう既にかなりもう満杯な状態でしたー」
県防災士会の理事で氷見市防災士ネットワークの副会長を務める柳田ゆかりさんです。
能登半島地震の際、3か所の避難所で合わせて23日間、運営に携わりました。
地震当日から3日間運営したのは、地元の南部中学校と棟続きの朝日丘小学校でした。
小学校の体育館の天井が破損して使えず、南部中学校の体育館には住民があふれていました。
「ご高齢の方であったりとか小さい家族がいらっしゃる方に関しましては、教室をいくつか開放していただいてそちらの方で休んでいただくように誘導した」
標高25メートルの高台にある南部中学校。
津波を恐れて校区外からも集まったとみられ、一時は把握するだけでおよそ800人いたといいます。
「(体育館の床)冷たいです。やはり底冷えがしますので。1階に武道場があるので。畳を持ってきたりして寒さ対策をした。時々断水があったのでトイレにあるだけのバケツを用意して」
水がなくなれば、非常用簡易トイレの袋で対応しました。
「大きな袋がありまして、かけていただいてその袋の中にしてもらう。袋を包んでもらって捨ててもらう」
「自分たちだけでは手が回らないので避難された方に声掛けしてトイレの管理をお願いした」
住民も協力しながら避難所を運営していきました。
避難者に対して備蓄の食料や水は足りず、水やパンなどを配布できたのは、寄付や補充を受けた地震翌日の1月2日からでした。
県は、能登半島地震からの復旧・復興と地域防災力の向上をめざし、新年度予算案に54億円を計上しています。
避難所の生活環境の改善には、1億2600万円を盛り込みました。
トイレカーや炊き出し用の調理器具、段ボールベッドや水循環型のシャワーを導入します。
トイレカーの導入は1台だけですが、既に所有する自治体などと合わせて相互に駆け付ける仕組みです。
また、生活用水の確保のため、防災井戸の整備に力を入れます。
市町村が防災井戸を選定したり、整備したりするのを支援します。
避難所について、県のマニュアル策定指針は、大規模な災害時には、「避難者の自主的な運営を目指し、行政や施設の担当者は後方支援に協力する」としています。
運営などで地域の防災リーダーとなるのが防災士です。
県は新年度、防災士の養成研修などに1750万円を計上しました。
先月末現在、県内の防災士は3100人。
氷見市の南部中学校では、地震当時、活動できた防災士は柳田さんら2人だけでした。
「(防災士だけど)医者だからまず病院行かなきゃいけない、消防士だからまず消防署に行かなきゃいけない。防災士はたくさんいらっしゃる、登録はあるが、実際災害になったときになかなか防災士としてのパワーが発揮できないのが難しいところかなと思う」
当時、学校のグラウンドを避難してきた住民の車が埋め尽くしていたといいます。
「雪がずっと降り続いて寒い日だったらどういうふうにして避難するのかなと。車も出せない、渋滞でどうする?とまた違う災害が起きかねない。どういうふうに避難所の対応したらいいのかなと、すごく心配になります」
シリーズあすは人口減少対策についてお伝えします。