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【衆院選】投票に行く前に…1票の鍵はここにある!関西①兵庫・斎藤前知事が巻き起こした‟風”の行方

2024年10月6日 8:00
【衆院選】投票に行く前に…1票の鍵はここにある!関西①兵庫・斎藤前知事が巻き起こした‟風”の行方

■連日街頭活動を続ける斎藤前知事 自らSNSに投稿も…疑惑への具体的な説明はなし

 「おはようございます」
 「おはようございます。ありがとうございます。」

 先月30日、午前7時。兵庫県の須磨駅。一人のスーツ姿の男性が、真っすぐに背筋を伸ばし、道行く住民たちや通勤のサラリーマンに、深々と頭を下げていました。

 兵庫県の斎藤元彦前知事(46)。県議会での全会一致の不信任決議を受けて、この日の午前0時に知事を失職。その上で、11月17日に予定されている知事失職に伴う県知事選挙への出馬を表明しました。

 「あ!斎藤さんや!」

  道行く人の中には、斎藤氏に近づき、声をかける人の姿も。しかし、斎藤氏は自身への疑惑についての説明や、再出馬する知事選での主張を語ることはなく、ひたすら挨拶を繰り返していました。

(兵庫県・斎藤前知事)
 「頑張れ、という声もあれば、おそらく厳しい思いをお持ちの方もおられると思いますので、自分なりに受け止めた、というところです」

 報道陣の取材に対しても、多くを語らず、連日1人で駅前に立つ姿を自らSNSに投稿するなど、県政に返り咲く意欲をアピールする斎藤氏。議会にNOを突き付けられても、議会を解散することはせず、選挙によって「県民の審判」を受ける道を選びました。

 11月17日に投開票される兵庫県知事選には、5日時点で、前尼崎市長の稲村和美氏(51)が政党の支援を受けずに立候補することを表明していて、第2会派の維新は、朝日放送の元アナウンサーで日本維新の会の清水貴之参議院議員(50)に出馬を要請し、清水氏は6日にも正式に立候補を表明する方針です。
 
 また、経産省出身で出向した兵庫県で3年間、産業労働部長などを務めた経験をもつ中村稔氏(62)が既に出馬を表明しているほか、共産党が推薦する医師で無所属の大沢芳清氏(61)、元加西市長の中川暢三氏(68)も出馬する意向を示しています。

■最大会派の自民は…独自候補の擁立見送りか

 一方、県議会の最大会派である「自民」は2日、緊急の会合を開き、独自に推薦する候補者の擁立を見送る方針を示しました。

(兵庫県議会 会派「自民」北野実幹事長)
 「(知事への)不信任決議は全会派でやった前提なので、私たちだけが誘導してきたわけでも…。言い訳する気はまったくないが、候補の適任者が見つけるに至らなかったことは非常に残念ですし、責任を感じている」

 苦虫を嚙み潰すかのような表情で、報道陣の取材に応じた北野幹事長。その後県議団は「今後も引き続き、候補者を探し続ける」として方針を修正しましたが、有力な候補者探しは難航を極めています。

■‟斎藤ショック”が起こした「風」の行方 衆院選への影響も大

 「街頭活動をしていても、有権者から聞かれるのは斎藤さんのことばかりだ…」

 衆院選の兵庫選挙区で立候補する現職の衆院議員は、ため息混じりに斎藤前知事が起こした‟強烈な風”を感じています。石破新総理は当初、早期の解散について慎重な姿勢を示していましたが、連立を組む公明党や、党幹部などとの協議の結果、大幅に日程を前倒しし、今月15日に解散し、27日の投開票すると表明しました。

 これにより、兵庫県民にとっては、10月27日に衆院選、11月17日に県知事選と、短期間に「2度」選挙が行われます。維新の現職の県議は、知事選よりも先に衆院選が行われることで、衆院選が県民にとって、知事選の前哨戦になってしまったと話します。

(現職の兵庫県議)
 「斎藤前知事の問題が起きたすぐに衆院選が来てしまった。斎藤前知事への評価と、兵庫県の各党、各会派の一連の対応への県民の評価が、衆院選の投票にも影響を及ぼすことはもはや避けられないと思う」

■斎藤知事が巻き起こした「風」は兵庫だけにあらず…維新の‟お膝元”の大阪でも

 斎藤前知事が巻き起こした「風」は、決して兵庫県内だけに吹いているわけではありません。兵庫の隣、維新のお膝元の大阪でも、斎藤前知事による「風」の影響が及んでいます。

 総務省の官僚から大阪府に出向し、当時維新の代表だった松井知事の元、府の財政課長を務めた斎藤氏。2021年3月、自民や維新の推薦を受けて兵庫県知事選に出馬し、約85万票を獲得して初当選を果たしました。当選後は早々に、知事自らの提案による知事給与の3割カットや、退職金の5割カットの法案を成立させ、高校の授業料無償化を推し進める大阪府の吉村知事と歩調を合わせるように、兵庫県も県立大学の無償化を打ち出すなど、「身を切る改革」をテーマに掲げる維新とは、政策の方向性などで常に近い関係を保ってきていました。

 今回の斎藤知事への一連の疑惑について、百条委員会設置後の7月に、県議会の最大会派である「自民」が「(斎藤知事には)正しい決断をしていただきたい」と事実上の辞職を促した一方、維新は「まずは真実を明らかにすべきだ」として‟静観”の姿勢を続けていました。しかし、鳴りやまぬ知事への批判を受け、知事が2回にわたり証人尋問に出席した後の先月9日になってようやく、吉村共同代表が会見で「(斎藤知事は)間違いは認め、辞職すべきだ」として、斎藤氏に直接電話をかけ、辞職を促したことを明らかにしました。

 その後、先月19日に県議会は全会一致で斎藤知事への不信任決議案を可決。斎藤知事は失職を選んだうえで、知事選への出馬を表明しましたが、一連の知事への対応を巡り、後手に回った感が否めない維新に対して、大阪での有権者からも厳しい目が注がれています。大阪の維新関係者は、‟斎藤ショック”による衆院選への影響について、警戒感を強めています。

(大阪の維新関係者)
 「(維新の)斎藤知事への対応については、大阪でも有権者から非常に厳しい声が届いている。もはやここ大阪でも、維新という看板だけで当選できる状況ではなくなってきている」

 維新は前回の衆院選では、大阪の19ある小選挙区のうち、公認した15の小選挙区全てで当選し、圧倒的な強さを誇ってきました。党の発祥の地であり、‟牙城”である大阪に吹き荒れる、兵庫からの‟想定外の逆風”。来年4月の大阪・関西万博の開幕まで残り半年を切ったこのタイミングで、維新がどれだけ「本拠地での議席」を確保することができるのか。‟斎藤ショック”は、大阪の有権者の投票にも、大きな影響をもたらすのでしょうか―。

■ ‟斎藤ショック”がもたらした風の行方 ‟超短期決戦”の衆院選は15日公示、27日投開票

 わずか「12日間」という‟超短期決戦”となった今回の衆院選。兵庫県知事をめぐる「風」が、衆院選にもたらす影響はー。衆院選は15日に公示され、27日に投開票が行われる予定です。

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