【解説】支持する51%、支持しない32% 石破内閣世論調査の注目点
石破内閣は厳しいスタートになったことが数字でも浮かび上がりました。NNNと読売新聞が行った緊急の世論調査で石破内閣の支持率は51%でした。どこに注目すればいいのか、日本テレビ政治部官邸キャップ・平本典昭記者が解説します。
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鈴江奈々キャスター
「3つの『数字』に注目します
1.51%…なぜ?「支持率」伸びず
2.43%…石破人事「評価しない」
3.49%…立憲野田代表の戦略は?
まず、石破内閣の支持率というのが51%となりましたが、岸田政権の終わりのころは20%台で低迷していたと考えると、回復したようにも映るんですが、やはりこれは低いととらえた方がいいんでしょうか?」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「そうとらえた方がいいと思います。発足直後の支持率を2006年の第一次安倍内閣以降の10回を比較すると、最も高かったのが2009年の鳩山内閣で75%もありました。次が2020年の菅内閣で74%。1番低いのが2008年の麻生内閣の50%で、今回の51%は低い方から2番目ということでした。ある閣僚経験者はこの数字を見て、『やはりちょっと低いなぁ』と話しています。党内からは『支持率回復のために総裁選をやったのに効果が出なかった』という声も出ています」
鈴江キャスター
「なぜ効果が出なかったのかというポイントが気になりますが、それが2つめの石破首相の人事を『評価しない』43%、ここに響いているということでしょうか?」
平本記者
「そういう面があると思います。今回の調査で明らかになったのはやはり、人事への評価の低さです。人事全体は『評価しない』が43%、『評価する』より8ポイント高かったです。中でも肝いりの森山幹事長の人事についてみると、『評価しない』が37%と『評価する』より5ポイント高かったです。森山幹事長の人事の評価については、自民党内を取材すると『党内の評価は高いのに意外だ。これは自民党と世論の感覚にズレがあると改めて感じる』という話を聞きました」
「さらに党内を取材すると、支持率が思うようにあがらなかった要因は他に2つありそうです。1点目は『解散の決断の方針転換』です。石破首相は自民党幹部の意見に押し戻される形で10月中の総選挙を決めましたが、ある閣僚経験者は『解散判断をめぐり、石破首相が古い自民党に取り込まれたという印象が響いた』と指摘しています。政権幹部の1人は『解散時期の判断がぶれたことで10ポイントくらい下がったんじゃないか』という分析もありました」
「2点目は『裏金事件』の影響が響いているという見方です。あるベテラン議員は『本来なら支持率60%は行くと思っていたのに裏金事件が根強く影響している』。ある若手議員は『党の顔をかえても信頼回復しないくらい自民党への見方は厳しい』と嘆いていました」
鈴江キャスター
「そして3つめのポイントですが、石破首相本人への支持というか信頼感は21%とそれなりのパーセンテージを占めていましたが、一方で対峙(たいじ)する野党の支持はどれくらいまで広がってきているんでしょうか?」
平本記者
「石破首相に期待する数字と比べたいのは、『49』という数字です。この49という数字は、新しい立憲民主党の野田代表への期待で『期待する』が49%、『期待しない』が41%でした」
鈴江キャスター
「期待する方が上回っていますね」
平本記者
「ある立憲幹部はこの理由について、『石破首相が約束をやぶったことで、逆に野田代表の評価があがった』。ある立憲の若手議員は『野田代表への期待は高いと感じる』と話していました。一方で立憲民主党内からも『野田代表への評価は高いけれども、立憲民主党への期待にはつながってない』という声も聞きます。というのももう1つの数字、政党支持率の変化をみると、9月と比較すると自民党は31%から38%、立憲民主党は5%から7%と自民の方が伸びているんです」
鈴江キャスター
「自民党にしても立憲にしても、どちらも期待感というのがなかなかあげられていないというのがどちらにも言えることと言えそうですね」
平本記者
「そうした中で3日、立憲の野田代表は選挙に向けて早速動いています。日本維新の会の馬場代表、国民民主党の玉木代表、共産党の田村委員長と相次いで会談しました。野田代表が直面している課題は他の野党との選挙協力です。野田代表は、いわゆる裏金議員の選挙区では、野党候補を一本化した方が勝ちやすいと動いています。しかし、他の野党からすれば、すでに決まった候補者を取り下げるのは簡単でありません。自身の政党の比例票も減ってしまうというマイナス面もあります」
「今回、選挙は『超短期決戦』となりますが、この裏金議員の選挙区をめぐる与野党のバトルも注目です。自民党は『公認問題』がどうなるのか、野党側は『一本化問題』がどうなるのか。石破首相、野田代表、難しい調整が待っていますが、リーダーとしての実力が問われる仕事といえそうです」