「中国からの団体旅行」解禁に “爆買い”復活に期待も受け入れ態勢に課題
中国政府は10日、中国からの日本への団体旅行の解禁を正式に発表しました。かつてのような“爆買い”は復活するのか。受け入れる側の期待が急上昇する一方で、受け入れ態勢には課題がありました。
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日本人のみならず、外国人にとっても人気の観光地、東京・浅草。観光地らしい賑わいが戻る一方で、中国人観光客の姿は少なめだといいます。
龍昇亭西むら 西村勘太さん
「中国の方が突出して多いという感じではない」
染の安坊 浅草本店 戸塚真菜さん
「前は大人数でいらっしゃっていたのが、今はご家族単体で行動」
――売り上げには?
染の安坊 浅草本店 戸塚真菜さん
「影響ありました」
10日、観光地に影を落とす問題に“光”が差し込みました。コロナ禍で制限されていた「日本への団体旅行」の解禁を中国政府が正式発表したのです。北京では早速、「日本旅行に行けるっていいと思う」「沖縄の海に行きたいです。冬には北海道も行きたい」と期待する声が上がっていました。
日本への団体旅行は3年半ぶりの復活です。解禁を受け、旅行会社のホームページでは早くも販売が始まっていました。
中国・北京にある旅行会社は、この知らせを“心待ち”にしていました。
旅行会社の代表
「3年半、苦労してきました、弊社は日本と韓国旅行がメイン事業なので。航空会社へのチケットの交渉やプランの内容など直ちに展開したい」
かつてあったプランだけでなく、新たなツアーも計画中だということです。
制限前の2019年、日本を訪れていた中国人旅行者は1000万人近くいましたが、今年は6月まででその1割にも満たない60万人ほどです。
団体旅行が復活するとなれば、急上昇するのは受け入れる側の期待です。
ラオックス 銀座コア店 店長
「コロナ前はやはり中国の団体が多くて、売り上げの貢献も大きな貢献になると思う」
喜びを語るのは東京・銀座の免税店です。コロナ前にはおなじみだった、中国人旅行者が抱えきれないほどの商品を購入する、いわゆる“爆買い”。この光景が復活するかもしれないのです。
ラオックス 銀座コア店 店長
「それを想像すると、非常にうれしい景色。飲食業とか小売業とか宿泊業、全体的に日本の業界が盛り上がっていく」
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「期待」の一方で「課題」もあります。
都内の人材派遣会社は対応に追われていました。
人材派遣会社 フィールドサーブジャパン 岩村広一朗広報
「昨日と今日(午前まで)の1日半で10社以上お問い合わせいただいている状況。販売の現場では人が足りないですから」
家電メーカーやアパレルなど、多くの企業から中国語ができるスタッフの派遣依頼が殺到。現在、中国語ができるスタッフは200人ほどいるといいますが、深刻な人材不足だといいます。
人材派遣会社 フィールドサーブジャパン 岩村広一朗広報
「(中国語を話せる人材は)間違いなく足りないですね。中国語を話せる方の採用を続けなくてはいけない」
今年のうちに約250人を新たに採用し、増員を進めたいということです。
旅行業界に詳しい専門家は宿泊施設が不足する可能性を指摘します。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん
「中国人観光客が激増することでホテルの手配がより困難になる状況に陥るかも。オーバーツーリズム(観光公害)の問題が解決しない中でより難しい問題になってくる可能性も考えられる」
日本国内での消費への期待の一方、ホテルやタクシーの不足なども予想されるため、受け入れ態勢の強化が必要だということです。