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ホストで多額の“借金”なぜ… トラブル相談が急増 新宿区や警視庁…高額請求被害の対策へ【#みんなのギモン】

2023年11月17日 23:08
ホストで多額の“借金”なぜ… トラブル相談が急増 新宿区や警視庁…高額請求被害の対策へ【#みんなのギモン】

東京・新宿の歌舞伎町のホスト、瀬井聴弥容疑者(35)が逮捕されました。容疑者の男は30代の女性客に暴行してケガをさせた上、現金10万円を脅し取った疑いがもたれています。そのきっかけになったとみられているのが、約500万円の「売掛金」です。

売掛金とは、ホストクラブの客がその場で支払いできない場合、ホストが会計を肩代わりし、客には「青伝」と呼ばれる伝票を渡し、後日そのツケを支払わせるものです。ホストから借金をするようなものなわけです。

この「売掛金」めぐるトラブルが相次いでいます。そんな中、歌舞伎町のある新宿で17日、会見が開かれました。

新宿区長(東京・新宿区役所、午後3時半ごろ)
「支払い不能なツケ払いでの飲食を未然に防ぐと同時に、無理な請求を受けた人が安心して相談できる体制づくりを進めます」

新宿区や警視庁などが連携して、歌舞伎町での“ホストクラブの高額請求被害の対策”に取り組んで、来月からは区役所に専門の法律相談窓口も設置するといいます。

なぜ高額請求の被害が広がっているのでしょうか。

●売掛金 どんな問題が
●国も問題視 どう解決?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■「イレギュラーなシャンパン」 手持ちなく“売り掛け”にする実態が…

16日夜、記者が歌舞伎町を取材して、ホストクラブに通う女性に話を聞きました。

“ホスト”に通う女性(21)
「ヘアメークのバイトしていてお客さんにホストがいて、『うわ、かっこいい』ってなって行ったんだよね」

見せてくれたのはホストクラブの“青伝票”。なかには100万円の金額が書き込まれたものもあります。また別の女性は「300万円のシャンパンタワーを入れたことがある」といいます。

“ホスト”に通う女性(22)
「自分では、お金をばーっと使うのが気持ちいいんですよ。イレギュラーなシャンパン入れたりして。そういうときは手持ち以上がないので、その日は売り掛けにします」

女性らは、気軽に“売り掛け”を使っている様子でした。

■売掛金が数百万円…ホストの紹介で売春をして借金を払うことに

そして、過去にホストにはまって、売掛金が数百万円にも膨らんでしまったという人は、ホストから次のような言葉をかけられていました。

“ホスト”にはまり数百万円の借金をした女性
「『(この女性が)いなくなったら困るよ』って言われて、その言葉を純粋に信じちゃってましたね。(高額な支払いでも)『後で払ってもらえば大丈夫だから』って」

この女性はその後、ホストの紹介で売春をして借金を払うことになったと話していました。

■「ホストクラブが居場所」…そこにつけ込む悪質ホストも

このようなケースは、どのぐらい増えているのでしょうか。

新宿区の会見に出席していた「青少年を守る父母の連絡協議会」はホストクラブをめぐるトラブルの相談も受けていますが、この団体によると「売掛金の返済」などの相談はここ数年「月に数件程度」でした。それが、直近の4か月ほどで「約250件」にまで膨れ上がり、その多くが新宿・歌舞伎町の相談だといいます。

なぜ、これだけ増えているのでしょうか。

この団体によると、コロナ禍で寂しさを感じる女性が増え、ホストクラブに憧れを持っていた特に10代後半から20代の女性が、コロナが落ち着いて大勢、歌舞伎町に来るようになりトラブルにもなっているといいます。

取材を受けてくれた女性も「ホストクラブが居場所になっていました」と話していました。悪質なホストは、そこにつけこみ言葉巧みに店へと誘い込みます。そして、自分から客が離れないよう“マインドコントロール”していくといいます。

「売掛金」というシステムがあると、それほどお金を持っていなくても、それ以上にお金を使ってしまう…。そこが問題だといえます。

■ホストクラブは「売掛金の上限や年齢制限など“ルールを協議”」

まずホストクラブ側は、どう考えているのでしょうか。歌舞伎町のあるホストクラブのオーナーは、取材に対して次のように話しています。

ホストクラブのオーナー
「売掛金に上限や年齢制限を設けるなど、統一したルール作りについて協議している」

一方で、売掛金トラブルの相談にのる若井綜合法律事務所の小師健志弁護士によると「売掛金そのものを今の法律で禁止したり、金額の上限を定めたりすることはできない」と言います。

■売掛金が違法になるケースも…

では、どうすれば良いのか。たとえば、冷静な判断力を奪われて、結果的に多額の被害になる場合には、消費者契約法の取り消しの対象になることもあり得ます。また、売春や性風俗店で働くようホストなどが客にあっせんすることは、職業安定法で取り締まれるケースもあるということです。

国会でも自見消費者担当相が「被害者救済のために対策を検討していく」としています。

■悩んでいる人はまず相談を 激しい取り立て…迷わず「警察」に

いま、まさに困っている人や悩んでいる人は、どうすればいいのでしょうか。

小師弁護士は「無料で弁護士に相談できる『法テラス』に。また『消費者センター』に駆け込むのも手段です。取り立てが激しい場合などは、恐れず警察に相談してほしい」と話していました。

もし身の周りで困っている人がいた場合、「相談できる場所があること」を伝えていきたいものです。一方で若い人たちがこのような被害に巻き込まれないよう、対策が求められます。

まずはこの売掛金システムのあり方を、ホストクラブは自主的に見直してほしいと思います。そして、トラブルになってしまった人を、周りが気づいて助ける方策も必要です。

(2023年11月17日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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