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田村淳×辻愛沙子1 答えは「過程」にある

2021年12月30日 10:55
田村淳×辻愛沙子1 答えは「過程」にある

ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんとクリエイティブディレクターの辻愛沙子さんの対談をお送りするUpdate the world。発信を続ける二人が抱える悩みは?田村さんがアップデートを心がけるようになったきっかけは?

■外に出て、当たり前を疑ってみる

オンラインコミュニティ「田村淳の大人の小学校」の活動など、感覚をアップデートしながら時代の第一線を走り続ける姿勢が注目される田村さん。以前、YouTubeチャンネル「ロンブーチャンネル」で、辻さんを「応援したい存在」として紹介したことがきっかけで、今回の対談が実現した。既存の価値観にとらわれない発言に対し時に賛否両論を集める二人。発言することに対して、どう考えているのだろうか。


「私はよく、周りから『わきまえないね』と言われるんです。ずっとメディアに出て、物怖じせずに言い続けられている淳さんをすごく尊敬しています。発言することをためらうことはありませんか?」

田村
「いっぱいありますね。僕は、メディアに対しての期待と猜疑心、両方を抱いています。今は、マスメディアがどうあるべきなのか、視聴者さんもテレビマンも必死にもがいている最中の時代だと考えています。どこに着地するのかは分かりませんが、自分が感じることには嘘をつかずに発信したいという思いが強いです」


「お笑いにおいても容姿をネタにしないなどのアップデートの是非が話題になっていますよね。淳さんはどうやってご自身をアップデートしているのでしょうか?」

田村
「僕自身は、アップデートのために勉強している感覚はありません。いろいろな人に話を聞くことが一番だと思っています。むしろ芸能界のパーティーは嫌いなんですよ。昔はたまに参加していたのですが、同業者とだけ話していても、アップデートできないんで。異業種の方々と話していると、はっとする機会が多いですね」


「いつ頃から、業界を越境する意識へと変わったのですか?」

田村「30代半ばです。当時、僕のマネージャーが夏休みにシリコンバレーに旅行して、帰ってきた翌週に『退職します』と言ったんですよ。理由を聞くと、刺激を受けたからだと。『じゃあ僕もいつか連れてってよ』と言ったら、その半年後にシリコンバレーでのトークショーを企画してくれたんです(笑)

そのときに、様々な企業を見学させてもらいました。僕が一番びっくりしたのは、パソコンを立ったまま打っている人と座っている人がいること。僕はそれを見て『なんであの人立っているんですか?』って聞いたんです。そしたらすごく驚いた顔で『立ちたいからですよ』と言われて。ああ、そうか、シンプルだけど、そうだよなって思ったんです。当たり前を疑うことになったきっかけです」

■世の中には、単純な答えが出ないことが多い

辻さんは最近の悩みとして、自分の意見を発信する中で「誰に投票したらいいですか?」など、明確な答えを求められることが増えたことを吐露する。「発信=答えではない」と考える辻さんに対して、田村さんは「大事なのは過程にある」と同意する。

田村
「答えは過程にあると思うんです。僕が大学受験をしたきっかけは、青山学院大学の法哲学を研究している住吉雅美教授のゼミで、『自殺はいけないことか』をテーマに議論していると知ったことでした。自分の命なんだからどう終わるかを決めてもいいという人、命を大事にしなければいけないと考える人、両方の意見がいたそうです。当然、答えなんて出ません。でも、考えた過程にこそ意味があると感じましたね。僕がオンラインサロンを運営しているのも、みんなで議論する場を作りたかったからです」


「分かります。賛成か反対かを求められることが多いですが、『ここにおいては、こう思います』みたいに、両方の要素を正しく感じることも、たくさんありますよね」

田村
「すぐ二極化してしまうんですよね。僕は物事を中立に見たいけれど、周りが右か左か判断をする。もどかしい気持ちになります」


「アップデートが目指す姿自体、すべて白か黒か、右か左かで決着をつけることではないと思うんです。その時代によって、自分自身も変わり続けなければいけないと感じますね」


必ずしも単純化できない問題に対しても、周りからは明確な立場を求められてしまう。多くの人たちが、生活や仕事、政治などいろいろな場面で抱える悩みではないだろうか。明確な答えを求める姿勢自体、アップデートしていかねばならない価値観かもしれない。

 ◇

この記事は、2021年12月17日に配信された「Update the world #12 私たちはどうアップデートできるか」をもとに制作しました。
 
■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。

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