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対策も経済も“オミクロン版まん延防止”は

2022年1月19日 19:29
対策も経済も“オミクロン版まん延防止”は

新型コロナウイルスの感染者数が増え続けていく中で、1都12県へのまん延防止の措置の適用を決定しました。感染対策をしつつ、社会経済活動をなるべく止めない「オミクロン株バージョン」について、詳しく解説します。

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■1都12県にまん延防止措置を追加

19日、政府は、1都12県に対するまん延防止等重点措置の適用を決定しましたが、これまでとは違う「オミクロン株バージョン」になりそうです。

コロナ対策担当の山際大臣は、次のように発言しています。

山際新型コロナ担当大臣
「政府としては、新型コロナ対策をしっかり進めながら、経済社会活動が継続できるように取り組むことが重要であると考えております」

今回のまん延防止の内容について、対象となるのは次の1都12県です。

東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・新潟・愛知・岐阜・三重・香川・長崎・熊本・宮崎

期間は、21日からおよそ3週間の2月13日までとする方針です。

■「オミクロン株バージョン」のまん延防止とは

「オミクロン株バージョン」とは、オミクロン株の特徴を踏まえて、感染対策はしっかりしつつ、経済活動も回していこうというものです。

本来、こうした感染拡大の場面で活用される予定だった「ワクチン・検査パッケージ」については、当面停止とします。

「ワクチン・検査パッケージ」、ワクチンを2回接種した人や検査で陰性だった人にはイベントや飲食店の人数制限を緩和するというものでした。しかし、オミクロン株の特徴である2回接種していても発症を予防する効果が著しく低下することを踏まえ、当面停止の対応となります。

ただし、都道府県によっては知事の判断で利用可能とする方針も了承されました。

分科会メンバー釜萢敏氏は「3回目の接種が進んだ時点で、またきちんと運用されるべき」とも話しています。

続いては、野球やサッカーなどのスポーツや音楽コンサートといった大人数が集まるイベントに関する方針です。

基本的には、感染防止のための「安全計画」があれば、2万人以下まで、かつ収容定員の100%まで観客を入れることができます。ただし、ここからが「オミクロン株バージョン」で、「観客や出演者など対象者を全員検査した場合」に限って、2万人を超えて定員までなら何人でもOKとなります。

観客含め全員検査となると大変になりそうです。入り口で検査するか陰性証明を持ってきてもらうか、やり方はいろいろとありますが、いずれにせよ主催者による周知徹底が必要になりそうです。

この「オミクロン株バージョン」の方針は、私たちの移動にも関わります。

これまでよく聞いた「不要不急の外出自粛」という言葉は、今回ありません。その代わりに、まん延防止の都県の人たちには「混雑した場所や感染リスクの高い場所」への外出を自粛してくださいと呼びかける方針です。

また、いわゆる「“県またぎ”の移動を極力控えて」という呼びかけも行われますが、今回は「全員検査を受けた場合、対象としないことを基本とする」という方針が示されました。

■対象者を全員検査すれば、5人以上の会食も可能…

そして、毎回大きな影響を受けている飲食店への方針について、政府は、飲食店に対しては「営業時間の短縮」や「酒類を提供しない」、「同一グループ・同一テーブルでの5人以上の会食を避ける」ことを要請することが可能というこれまでと同じような方針を示しています。

ただ、ここでも、「5人以上の会食」については、「対象者を全員検査すれば、5人以上の会食も可能とする」としています。ただし、細かいルールについては都道府県で決められることになります。

分科会の尾身会長は19日、次のように発言しました。

新型コロナ対策分科会 尾身茂会長
「オミクロン株の特徴にふさわしい、効果的、メリハリのついた対策を打つ必要があるのではないか。一言で言えばいわゆる『人流抑制』ではなく『人数制限』というのが1つのキーワードになる飲食も4人ぐらいとかいつも行っている人と静かにやって、しゃべるときはマスクをするとか、そういう行動をしていただければ、店を閉める必要は、私はないと思います」

■飲食店への方針…東京では「選択制」で“協力金に差”?

こうした方針を受けて、東京都では具体的にどうなるのでしょうか。すでに、飲食店での人数制限は「1グループ4人以内」となっていますが、これは維持する方針です。

また、営業時間は、認証店については、次のような「選択制」にできるようにする案を軸に検討されています。

(1)酒類の提供は午後8時まで・営業は午後9時まで

(2)酒類を終日提供せず営業は午後8時まで

この2つから選択し、協力金に差をつける案が検討されているということです。

また、非認証店については、上記(2)と同じ内容を要請する方向で検討しています。

協力金の差について、(1)よりも(2)のほうが協力は多くなりそうですが、まだわかりません。

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19日はオミクロン株の特徴に合った対策ということが強調されました。感染対策、そして経済を回すことの両立をどうやっていくのか、政府や岸田総理大臣からの具体的なメッセージも注目されます。

(2022年1月19日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)