第144回芥川賞と直木賞 ともに2作品
第144回芥川賞と直木賞の受賞作が、17日に発表された。ともに2作品が選ばれた。これは第130回以来、7年ぶりのこととなる。
芥川賞に選ばれたのは、朝吹真理子さんの「きことわ」と、西村賢太さんの「苦役列車」。
朝吹さんは慶応義塾大学の大学院生で、東京都出身の26歳。去年、「流跡」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少で受賞し、作家としてデビューした。受賞作の「きことわ」は、子供時代を一緒に過ごした女性2人が25年ぶりに再会し、過去と現在を行き来しながら交流する様子を描いた作品。
西村さんは、東京都出身の43歳。中学校を卒業後、アルバイトなどで生計を立てながら03年に小説を書き始めた。今回受賞した「苦役列車」は、その日暮らしの労働で生計を立てる19歳の孤独と貧困を描いた作品。
一方、直木賞には、道尾秀介さんの「月と蟹」と、木内昇さんの「漂砂のうたう」が選ばれた。
道尾さんは東京都出身の35歳。会社勤めをしながら04年に「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞、作家としてデビューした。これまでに5回連続で直木賞の候補に挙がっている。受賞作の「月と蟹」は、小学5年の少年と友人たちのひと夏の出来事の中で、少年たちの行き場のない思いを描いた作品。
木内さんは東京都出身の43歳。フリーの編集者を経て、04年に作家としてデビューした。受賞した「漂砂のうたう」の舞台は、明治時代初期の遊郭。時代の流れに翻弄(ほんろう)されながら遊郭で生きる男女が織りなす人間ドラマを描いた作品。
授賞式は来月18日に行われる予定。