「線状降水帯」を集中観測へ スパコン「富岳」も活用 気象庁などが連携
大雨シーズンに、甚大な被害をもたらしてきた活発な雨雲が連なる「線状降水帯」について、気象庁などは、予測の精度を上げるため、6月から「集中観測」を行うと発表しました。
気象庁は6月1日から、半日ほど前に線状降水帯の発生を予測し、可能性がある場合には気象情報で伝えることにしていますが、「現在の予測技術では非常に難しい」と説明し、実際に発生する確率は4回に1回程度で、さらに3回に2回程度は事前に予報することができないとしています。
こうした中、気象庁は、線状降水帯の発生を精度良く予測するため、14の研究機関や大学と連携して「集中観測」を行うと発表しました。
線状降水帯は、東シナ海などから大量の水蒸気が流れ込んで発生すると考えられ、6月から船や飛行機を海上に派遣して観測を行うほか、沿岸にも「マイクロ波放射計」と呼ばれる水蒸気の動きを掴むための特別な装置を置き、予測が難しい線状降水帯のメカニズムの解明を目指しています。
また、これらの観測データを活かして精度良く予測するために、世界トップレベルのスーパーコンピューター「富岳」を使った18時間先までの予測実験も行うということです。
気象庁は、水蒸気の観測を大幅に強化し、高性能なスーパーコンピューターを活用することで線状降水帯の予測精度を上げ、7年後をメドに線状降水帯が発生するエリアを現在の「地方単位」から「市町村単位」にまで絞り込み、警戒を促したい考えです。