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死刑執行ゼロ19年ぶり 法改正求める声も

2012年1月3日 16:19

 11年は、死刑の執行が一件もなかった。年間を通じて死刑が執行されなかったのは、92年以来19年ぶりとなる。

 最後の死刑執行は10年7月28日で、死刑廃止論者とされていた当時の千葉景子法相が、民主党政権下では初めて死刑執行に踏み切った。しかしそれ以降、柳田稔氏、仙谷由人氏、江田五月氏の3人の法相の下で死刑の執行は見送られ、11年9月に就任した平岡秀夫法相も「法務省内に設置されている勉強会の議論もふまえ、私なりの考えを整理していきたい」と、執行に慎重な考えを示した。

 平岡法相はその後、「個々の問題については自分が考えて結論を出す」と述べ、勉強会が続く間に執行する可能性について言及したが、結局、11年のうちの執行はなく、確定死刑囚の数は11年12月27日の時点で129人と戦後最多に上った。

 こうした法相の姿勢について、全国犯罪被害者の会「あすの会」顧問・岡村勲弁護士は「法律を守らない人は法相になる資格がない」と厳しく批判している。刑事訴訟法では、法相は判決確定から6か月以内に死刑執行を命じなければならないと定めている。岡村弁護士は「『法相の勉強中はこの期間に入れない』とは、法律のどこにも書いていない」と指摘した。「法相がやらないなら、死刑執行命令権を検事総長に移すよう法改正すべきだ」と主張している。

 平岡法相は11年12月27日の記者会見で、死刑執行ゼロが19年ぶりになることを指摘されたのに対し、「色々な検討をした結果として出てきている話なので、それ自体に大きな意味があるとは受け止めていない」と述べるにとどまった。