“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判が12日に始まり、元妻は「殺していない」と無罪を主張しました。

無職の須藤早貴被告は2018年、和歌山県田辺市の自宅で、“紀州のドン・ファン”と呼ばれた野崎幸助さんに何らかの方法で致死量を超える覚醒剤を摂取させ、殺害したとされています。

12日に和歌山地裁で行われた初公判で、須藤被告は、「私は社長を殺していませんし、覚醒剤を飲ませたこともありません」と述べ、無罪を主張しました。

冒頭陳述で、検察側は、野崎さんから離婚届を渡された頃に、「老人・完全犯罪」「覚醒剤・死亡」などの検索履歴があったことや、密売サイトで致死量の3倍以上にあたる少なくとも3グラムの覚醒剤を購入したことなどを指摘し、「財産目当てで結婚し莫大（ばくだい）な遺産を得るために完全犯罪を実行した」と主張しました。

一方、弁護側は、「人を殺そうと思ったときに覚醒剤という手段を選ぶのか」などと訴えました。検察側は、直接的な証拠がない中で状況証拠を積み重ねて殺人を立証する方針で、13日の裁判では証人尋問などが予定されています。