フジテレビ“新体制” 日枝氏出席の取締役会の内幕は…スポンサーの判断は?【バンキシャ!】
中居正広さんと女性とのトラブルをめぐる一連の問題で、1月27日に“やり直し会見”を行ったフジテレビ。1日、新体制となって初めて行われた取締役会の様子を取材。その内幕は…。また、CMを差し替えているスポンサー企業の判断とは。【バンキシャ!】
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1日。バンキシャ!はフジテレビへ。
「フジテレビの前ですが、写真撮影されている方がいます」
観光客だろうか、写真撮影を楽しんでいた。岐阜から来たこちらのカップル。
観光客
「朝のニュース番組を毎日見ていますし、『逃走中』が好きなので」
――27日の“やり直し会見”を見て感じたことは。
観光客
「質問に対して曖昧に答えている部分があるので、そこはしっかり考えてもらえたら」
27日に行われたフジテレビの“やり直し”会見。10時間を超え、翌日未明まで続いた。 その後、週刊文春が記事の内容を一部訂正したことを明らかに。トラブルの発端となった中居正広さんと女性の食事会。女性を誘ったのはフジテレビ社員ではなく中居さんだったと訂正していた。
これについて、フジテレビの清水新社長は。
フジテレビ 清水 賢治 新社長
「なぜあのタイミングで(訂正を)出したのか、一番疑問」
記者
「今後訴訟も?」
清水 新社長
「今あらゆる選択肢が検討のもとにあります」
“やり直し会見”からまもなく1週間。フジテレビをめぐる環境はどのように変化したのか。 バンキシャ!は、フジテレビの親会社の取締役会、その内幕を取材。さらに、スポンサー企業のフジテレビを見る目が変わったか調査した。
――依然として不透明さが残っている。
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新たに社長となった清水賢治氏。就任した2日後、社員にメールを送っていた。
清水新社長のメール
――社長に就任しました清水賢治です。皆さんにご心配とご苦労をおかけしていることを、心よりお詫びします。最初にお伝えしたいのは、フジテレビは、急激な業績の落ち込みにも耐えられる経営基盤を持っている。まずは安心して、未来に向けて、取り組んでいただきたい。
刷新が注目される経営幹部については。
清水新社長のメール
――「“オールドボーイズクラブ”のようで閉鎖的」と指摘を受けたことがあります。この声を真摯に受け止め、組織の透明性を高めていきます。
メールが送られたまさにこの日、経営陣の重要な会議が行われた。社内に大きな影響力を持つとされる、日枝久取締役相談役も出席する取締役会だ。何が話し合われたのか。
バンキシャ!は、フジテレビの親会社フジ・メディア・HDの取締役会の様子を取材した。 会議は正午頃から、フジテレビの取締役会を挟んで、合わせて2時間行われた。出席者によると、フジテレビの清水社長の横に、親会社社長の金光氏、そしてその横に日枝氏が座った。さらに机を囲んで、常勤取締役が5人、社外取締役が7人並んだ。27日に辞任を発表したフジテレビの港前社長と、嘉納前会長の姿はなかった。
会議では、番組制作やイベントへの影響など、事前に社外取締役7人が説明を求めていた8項目について、各担当者が説明。また、出席者同士の雑談の中では、週刊文春がフジテレビ社員のトラブルへの関与を一部訂正したことについて、“なぜ会見の前に公表しなかったのか"と話す場面もあったという。そして、注目されていたのは、日枝氏の言動。出席者によると、取締役会での日枝氏は元気な様子で、隣に座る金光社長に話しかける場面もあったという。
この日の朝、清水社長は経営陣の刷新について。
清水 新社長
「全役員が対象であると考えています」
記者
「日枝さんとかも含めて?」
清水 新社長
「全取締役と思っています」
日枝氏も対象との見方を示していたが、取締役会で日枝氏の口から進退についての発言はなく、議題にも上らなかったという。 フジテレビの“やり直し会見”後、初めての取締役会。最も長い時間、費やされたというテーマは…
出席者
「ACジャパン(のCM)が何%ぐらいとか、営業成績がどうなんだとか、そういう話をしていた」
CMの差し替えなどをめぐっては、出席者から“クライアントへの対応はどのようにしているのか”などの声が。 さらに、この取締役会のあと、ACに差し替えたCMについて料金を請求しないことが発表された。また、フジテレビのCM収入がこれまでの予想より233億円減るとの見通しも示された。 では、フジテレビで流れるCMに変化はあったのか。バンキシャ!は、1月31日の午前0時から24時間分の放送を調べてみた。すると…
バンキシャ
「企業のCMが52本に対し、ACのCMは750本でした」
合計942本のCMのうち、ACに差し替えられたCMは750本。企業CMは52本だった。 また、フジテレビの番組や映画、イベント等を宣伝する、いわゆる“番宣”とみられるCMが140本流れていた。CM料を請求しないことで、ACの広告に差し替える必要がなくなったためとみられる。この影響が、制作現場に色濃く出ているという証言も。
フジテレビで働く制作会社スタッフ
「番組内のCMが減った分、VTRやスタジオの尺(時間)をのばす必要があり、現場スタッフの負担が増えた」
別の制作会社スタッフからは、コンプライアンスに対する意識の変化も聞かれた。
フジテレビで働く制作会社スタッフ
「ナレーションひとつひとつに神経をとがらせ、この表現大丈夫か?と気にしている」
「番組に対するSNSの書き込みもかなり気にしている」
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一方、フジテレビに対する、スポンサー企業の見方に変化はあったのか。バンキシャ!はアンケートを行い、41社から回答を得た。まず、10時間を超えた“やり直し会見”についての受け止めは?
匿名のスポンサー企業
――再度会見を開催したことからは、事態を重く受け止めていることが伝わってきた。しかし、情報が全て明らかにされたとは言えないため、評価することは難しい。
青山商事
――前回の記者会見の課題をオープン形式・時間無制限などの対応で改善を図っているものの、取締役相談役が参加されないなど、依然として企業ガバナンスにおける不透明さが残っている。そのため、考え方は変わらない。
“やり直し会見”によって、CM放送再開に前向きになったと回答した企業は1つも無かった。
では、いつまでCM放送を見合わせるかについては?
バンキシャ
「この企業は未定ですね。この企業は第三者委員会が…」
回答を分類してみると、最も多かったのは「未定」で22社。次に「第三者委員会の調査結果次第」が13社。そして、「事実関係がはっきりするまで」が5社。「現段階では3月末まで」が1社だった。
また、週刊文春が、フジテレビ社員A氏が女性を誘ったとする記事を訂正しつつも、「A氏がトラブルに関与した事実は変わらないと考えています」としていることについては。
日本生命
――これをもって、フジテレビのガバナンスや人権の観点での懸念が払拭されたとは考えていません。
キリンホールディングス
――フジテレビ社において人権侵害に対しての疑義があることに変わりないため、第3者委員会への調査協力などを通じた事実解明と、それに基づく適切な対応を引き続き求めてまいります。
週刊文春の訂正が、CM放送の判断に影響すると回答した企業も0社だった。カギとなる第三者委員会の調査結果は、3月末をめどに公表される。
*2月2日放送『真相報道バンキシャ!』より