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コロナでピンチ!のローカル鉄道「予想外のペース」クラファン成功なるか?

2022年9月9日 22:46
コロナでピンチ!のローカル鉄道「予想外のペース」クラファン成功なるか?
厳しい経営が続く「野岩鉄道」(今年1月)

開業35年目のローカル鉄道が今年8月、クラウドファンディングを始めました。開業当時からの車両を観光列車に改造するため1500万円の資金を目標にしています。そしていま予想外のペースで目標額に近づいているといいます。

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■乗客は30年で6分の1以下に …コロナも追い打ち

栃木県日光市に本社を置く「野岩(やがん)鉄道」。日光市の新藤原駅と福島県南会津町の会津高原尾瀬口駅の間、30.7キロを結ぶローカル線で1986年に開業しました。

温泉地も点在する山あいを高架橋やトンネルなどで貫き、ダイナミックな景観も楽しめる路線です。東武鉄道の浅草駅から直通列車も走り、会津地方と首都圏をつなぐ役割も果たしてきました。

しかし、沿線の過疎化の進行で長期的に利用者の減少が続き、新型コロナが追い打ちをかけました。不要不急の外出抑制の呼びかけは、利用者の9割以上が観光客という野岩鉄道には大きな打撃となりました。

利用者数はピーク時1991年度の117万人に対し、昨年度は17万6千人にまで落ち込みました。最近の利用者数もコロナ前の5~6割にとどまり厳しい状況が続いているといいます。

今年春のダイヤ改正では、1日の運転本数を上下17往復から10往復へと大幅な削減を余儀なくされました。

【貴重な「6050型」残したい…乗客増へ「改造計画」】野岩鉄道はこうした厳しい状況を打ち破るべく、クラウドファンディングを呼びかけ、保有する2編成(4両)のうち1編成(2両)を観光列車に改造する計画を打ち出しました。


対象は1986年の開業時に導入した6050型車両。長距離の行楽客に対応しボックスタイプの座席を備える同じタイプの車両は東武鉄道などでも長年活躍してきましたが、東武の車両はすでにほとんどが廃車となり、野岩鉄道の車両はいまや貴重なものとなりました。

野岩鉄道は「唯一残る6050型を長く走らせたい」と訴えています。運転士気分を体感できる模擬運転台や畳でくつろげる座席を設置するほか、自転車も持ち込めるスペースを整備するなどの改造を計画しているということです。

■ピンチ救うか?「予想以上」クラウドファンディングの行方は

目標額は1500万円。到達しなければ、すべての計画は断念となります。8月10日から開始し10月7日を期限としています。

ところが開始からわずか1か月で90%を超える1379万円あまりが集まり、(9月9日現在)目標到達まであと120万円ほどとなっているのです。

野岩鉄道の担当者は、「予想以上のペースでありがたい」と話しています。

もし目標額を超えても、締め切り日までは寄付を受け付けますが、集まった金額によっては電車の模型が走るジオラマの設置など、さらに車内を充実させるアイデアもあるといいます。

「ピンチの鉄道会社を救いたい…」多くの人々の善意はどのような形で実を結ぶのか、栃木のローカル鉄道の次の一手が注目されます。