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関電、不服申し立ての方針 高浜原発仮処分

2015年4月14日 20:46
関電、不服申し立ての方針 高浜原発仮処分

 福井県の高浜原発3・4号機について、福井地裁は14日、再稼働を認めない仮処分を決定した。この仮処分で、3、4号機は直ちに運転できないことになり、異議申し立てなどで決定が覆らない限り再稼働できない。11月を目指した再稼働のスケジュールにも影響が出そうだ。

 去年12月、地元住民らは、再稼働が迫っているとして原発の再稼働を認めないよう、直ちに効力のある仮処分を福井地裁に申し立てていた。今年11月の再稼働を目指している高浜原発。今年2月、原子力規制委員会の審査を事実上、合格し、再稼働に向けた地元の同意の取り付けと、設備機器などの検査で合格することが課題だった。

 そんな中、争われていた再稼働の是非をめぐる判断。再稼働へのプロセスに一石を投じることになるのか注目されていた。14日の決定で、福井地裁は「本件原発の安全性は確保されていない」「想定外の災害への備えが十分でない」などと指摘。さらに、原子力規制委員会の定める基準についても、「合理性を欠くものである」として、審査に合格しても安全性が確保されないとした。

 全国で初めてとなる原発の再稼働を認めない仮処分。高浜原発の3・4号機は、決定が覆らない限り再稼働ができなくなった。

 一方、高浜原発を所有する関西電力は、「今後も高浜発電所3、4号機の安全性の主張・立証に全力を尽くしてまいります」とコメント。すみやかに不服申し立ての手続きを行う方針だ。

 今回の決定は、再稼働のプロセスにどのような影響を与えるのだろうか。仮処分の影響は大きく2つ。「地元の同意」と「残りの審査」だ。

 原発の再稼働に向けて必要な「地元の同意」。高浜原発の場合、立地する高浜町と福井県の同意が必要となっている。今回の決定を受け地元は-。

 高浜町・野瀬豊町長「司法の判断は別の土俵のご判断かと思いますので、自分の責任で判断していくことには変わりはないです」

 さらに福井県の西川一誠知事は、「司法の判断であり申し上げる立場にない」「県としては、これまでどおり、国や事業者の対応状況等を十分確認し、安全確保を最優先に慎重に対応していく」とコメントしている。

 仮処分の影響としてもう一つ考えられるのが「残りの審査」。今後行われる予定の高浜原発の検査では、原子炉を動かして動作を確認する検査項目があるが、仮処分が有効な間はこの検査ができず、検査が完了しない可能性がある。このままでは、11月を目指していた再稼働のスケジュールが、遅れる可能性がある。

 今回の決定について政府は-。

 菅官房長官「政府としては、その(原子力規制委員会の)判断を尊重して、再稼働を進めていく方針には変わりません」

 一方、今回の決定が、ほかの原発にも影響を及ぼすとの見方も。
 “再稼働第一号”としてこの夏の再稼働を目指す鹿児島県の川内原発。22日には、今回と同様に再稼働を認めないよう求める仮処分への判断が下される予定。

 原発なくそう!九州川内訴訟/白鳥努事務局長「(高浜原発の決定は)私たちにとって非常に勇気づけられる決定であると考えております」

 再稼働を目指す動きが相次ぐ中、今回出た決定。今後の原発をめぐる司法判断にも影響が出る可能性がある。